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☆小さな王国 最俺(ヒラ愛され)
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(フジ視点)
ヒラが居なくなってから早いものでもう1年が経っ
た。ある日、何の前触れもなく忽然とヒラは消えた。書き置きも相談も何もなかった。
俺とキヨとこーすけは血眼で探しているがヒラが消えたその日から何の進展もない。
もちろん警察にも言った。だが警察は、ただの家出の様なものなのではないかと深く捜索はしてくれなかった。
諦めたくない、その気持ちはもちろん充分にある。でも1年も何も音沙汰が無ければ諦めてしまいそうになる。そんな毎日を過ごしていた。
そんな時、キヨから1通のLINEが来た。
「ヒラを見つけた。今、俺の部屋に居るから来い」
俺はそのLINEを見た瞬間、家を飛び出した。走って、走って息があがり過呼吸になっても尚走った。
ようやくキヨの家に着いた時にはもう汗だくだった。
キヨの家のドアをどんどんと叩くとすぐにキヨが出てきた。
「キヨ!ヒラ、ヒラは!?どこ!?」
「お、落ち着けよフジ。そんな焦らなくったってヒラは逃げねぇからよ。まぁ、入れって」
「う、うん…」
やけにキヨが落ち着いていることに少しの不安を覚えたがヒラがどこにいるのか、何をしていたのか、気になってそんな気持ちはすぐに掻き消されてしまった。
「着いてこいよ」
キヨは前に立ってヒラが居るであろう部屋に案内してくれた。
「よーす、ヒラー。お客さんだぜー」
キヨがドアを開け、そう言ったので俺はキヨを押し退けてヒラを見た。
そこにはヒラが居た。
いや、詳しく言うとヒラではない様なヒラが。
「んぁ…?あ…キヨぉ…おかえりぃ」
「いい子にしてたか?ヒラ」
「うん、キヨの言いつけ通りにちゃんといい子にしてたよ…だから、ね?ご褒美…ちょうだい…?」
「よしよし、後でな。まぁ、まずはフジに挨拶してやれよ」
「あっ…フジだぁ!久しぶりだねぇ…元気だった?」
「あっ…あ…ヒラ…?」
「…?うん、ヒラだよ?」
ヒラはキヨのものであろう長袖のシャツに下は何も履いていなかった。そして首輪、手枷、足枷と言った拘束具を付けられていた。目は眠たそうにトロンとしている。
目を疑った。ここに居るのはヒラ…なのか?いや、見た目は完全にヒラだ。それは分かっているが、中身がヒラではないようなそんな気がした。
言っていることが分からないと思う。自分でもそうだ。でも、これが現実だ。
今目の前に居るのはヒラだ。でも、ヒラじゃない。
すくなくとも、俺の知ってるヒラじゃない。
「フジ?どうしたの…?固まっちゃって…」
「フジ、大丈夫か?」
キヨに肩を揺さぶられて我に返ったのと同時に、キヨの手を振り払った。
「おい!キヨ!どういうつもりだよ!?ヒラをこんな…こんな状態にして…どうするつもりなんだよ!」
キヨの胸ぐらを掴んで今思っている疑問と怒りを述べた。
「落ち着けってフジ」
「落ち着いてられるかよ!1年も探してキヨから見つけたって連絡が来たと思ったら首輪とか足枷とか…もうわけわかんねぇよ!」
「だーかーら、落ち着けって。順を追って説明すっからよ。まずその1、俺はヒラのことが好きだ」
「えっ!?そんなの聞いてな」
「まぁ、聞けって!その2、どうやったら俺達だけのものに出来るか?」
「待って!俺達って…?」
「お前もこーすけもヒラのこと好きだろ?友達としてじゃなくってさ」
「何で知って…誰にも言ってないのに…」
「見てたら分かるって!バレバレだしよー。さ、続き話すぜ?その3、答えは監禁して心も体も支配するってことだって俺は考えたわけ。で、まぁ、今に至るって感じ。あ、見つけたって言うのは嘘で1年前から俺がここに監禁してた」
「心も体もって…そんな、監禁なんかしなくても…素直に気持ち伝えるんじゃダメなのかよ?!こんな…こんなのって…」
「じゃあ、聞くけど。監禁して何が悪い?」
「…へ?」
「相手が好きだからこうしてんだよ。相手が好きだから身も心も全部俺で満たしてやりたい。そう思うのはおかしいか?」
「…」
おかしいわけじゃない…
確かに相手が好きなら身も心も自分で満たしたい。そういう気持ちが自分にも無いわけではない。
「でも、だからってこんなやり方…ヒラが可哀想だよ…」
「何で?ヒラが可哀想って言うのはお前の傍から見た偏見だろ?ヒラに聞いてみろよ、自分は可哀想って思うか?って」
「ヒラ…こんな生活嫌でしょ?俺と家に帰ろ?」
「んー?何でぇ?俺は今の生活に満足してるよ?キヨが居て、毎日愛を与えて貰えて気持ちい事もして…唯一、寂しいのはここにフジもこーすけも居たらなぁ…って思うことだけだよ?」
「そんな…ヒラ…俺は…」
「ほらな、フジ。ヒラはちっとも寂しがっちゃいないんだよ」
「で、でも!ゲームは?ゲーム実況は?もう俺達4人で…最終兵器俺達で実況出来ないんだぞ!?いいの、ヒラ!?」
「ゲームは今もキヨとだけだけどやってるよ?最俺でゲーム実況出来ないのは悲しいけど…それはそれでいいかなって。あ、でも2人でゲームするのは楽しいけどフジとこーすけが居てくれたらもっと楽しいと思うんだけどなぁ…」
「ヒラ…何で…どうして…」
自然に涙が溢れていた。
何故こうなったんだ?
どこで、誰が、どう間違ったんだ?
キヨがこんな事を考えついたならキヨを止める術は無かったのか?
いや…そもそも俺が間違っている?
だってヒラは今幸せだって、満足だって言ってるじゃないか。
それは間違いなのか?
ヒラが満足してることが間違いなのか?
俺はそういうことが言いたいのか?
違う
そんなことが言いたいんじゃない
けど
あれ?
何が
間違いなんだっけ?
何が
正しいんだっけ?
「あぁ…もう…」
分からないや。
「ん?フジ?どうしたの?」
「ヒラ…ごめんね。俺変なことばっかり言ってたね。ヒラが満足してるのに可哀想だなんて決めつけて…」
「全然良いよ?俺、何も気にしてないもん」
「良かった…なぁ、キヨ」
「なんだ?」
「俺もここに居ていい?ヒラと一緒に居たいんだ。ずっと、ずーっと」
俺はヒラを引き寄せぎゅっと抱きしめた。そしてヒラも抱きしめ返してくれた。
「あぁ、いいぜ。3人で仲良く暮らそうぜ。ゲームして、ヒラに愛を与えて。永遠に。でもさ、フジ。1つ頼みがあんだけどさ」
「頼みって?」
「こーすけのこと頼んでいいか?」
あぁ、なるほど。こーすけをここに連れてくるのは俺の役目ってことか。
「分かった、任せてよ。ヒラは4人で居れたら幸せなんだよね?」
「うん、幸せ。フジもキヨもこーすけも居たら俺凄く幸せ。他に何にも要らないくらいに」
「じゃあ、俺頑張るね。ヒラの幸せのために」
「ありがとう、フジ。大好きだよ」
ヒラは俺の頬に優しくキスをした。
それで良いような気がした。
間違いとか正しいとか最初から関係なかったんだ。
ヒラさえ居ればそれで良かったんだ。
ヒラが幸せを感じれていればそれでいいんだ。
あぁ、好きだよ。ヒラ。狂おしい程に好き。
――――――――――――――――――――――――
その後日、連れて来たこーすけも最初は否定していたけれど最後はヒラを監禁すると言うこの行動に賛成してくれた。
――――――――――――――――――――――――
この大きなマンションの1つの部屋に作られた王国。
そこは王国と言うにはとても小さい空間で、王国の民も王を含め4人しか居りませんでした。
しかし、いつもその王国には4人の笑い声が絶え間なく響いておりました。
国民は皆とても幸せそうでした。
しかし時折、王は寂しそうに微笑むのです。
何故寂しそうに微笑むのでしょうか?
その理由は誰にも分かりませんでした。
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