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☆世間体 キヨヒラ
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今回は最俺の全員がマフィア設定です。
キヨがボスで、他の3人は側近という感じです。
側近と言っても結構距離は近いです。小さい頃から4人とも近くに居たので、他人というより家族に近いイメージ。
キヨとヒラは両片思いで、こーすけとフジはそれを知っているけどキヨ、ヒラには片方が好意を寄せていると伝えてません。自分達で伝えた方がいいと思ってるからです。
キヨとヒラである任務に行った際の出来事から始まります。
よろしければ本編へどうぞ(꜆ ˙-˙ )꜆
――――――――――――――――――――――――
手摺に腰掛けて今にも落ちそうな状態。風に吹かれてヒラの髪が靡いた。月明かりに照らされてそれはもう美しく微笑みながら。
「…キヨ、バイバイ」
ヒラが後ろに体を傾けるとまるでスローモーションの様にゆっくりと下に落ちていった。
俺はそれをただ呆然と見ていた。
――――――――――――――――――――――――
「キヨ、そんなに落ち込むなよ。まだ死体が見つかったわけじゃないんだろ?」
「そうだけど…あの高さから落ちたのに死なないって、ありえんのかよ…それに居なくなってからもう1ヶ月だぜ…?」
「大丈夫、あいつが簡単に死ぬなんて考えられない。それに俺はまだヒラに死んで欲しくない」
「それは俺もだ…」
こーすけが俺の背中を軽くさすって慰めてくれる。
死んで欲しくないとは言うものの、死体もない、生きてる確証もない。じゃあ一体何を根拠にヒラが生きていると信じればいい?
あの夜、あの場所で任務があったのは偶然だ。計画してあの場所で自殺(?)を計ったとは考えにくい。そもそも自殺をする理由が分からない。
「じゃあ俺任務あるから行くわ。キヨもあんまり沈んでると病むから気を付けろよ。ボスがそんなんじゃ下に示しつかないだろ?」
「ああ、ありがとう。こーすけが居てくれて…良かったよ」
「そんな照れること言うなよ。キヨらしくないw」
「本当だな…w」
それだけ言うとこーすけは立ち去った。俺はと言うと自室で一人座ってぼーっとしている。まだ現実を受け入れられないでいる。
目の前にはやらなくちゃいけない事や書かなきゃいけない書類が山ほどあるのに、やる気がおきない。
「ヒラ…会いたい…」
俺は誰もいない静かな部屋でポツリと呟いた。
こんな事なら告白すれば良かった。好きだと伝えれば良かった。
俺は最底の臆病者だ。
「1人考えてるところ悪いですけどボスー、仕事ですよ」
「ああ、フジ。ごめん、今行くわ」
フジがノックもせずに入ってきた。失礼な奴だ。
いや、もしかしたら元から開いてたかも…?
俺はフジとエレベーターに乗った。
「で、何の仕事?」
「イギリスで俺らの対抗組織が威張ってるらしいよ。基本はほっといていいと思うんだけど俺らの領域だから一応、ね」
「は?!イギリス!?てか、それ俺行く必要ある?」
「こうやって連れ出さないとお前いつまでも仕事しねぇし、動かねぇだろ!」
「う…図星…かも」
「…俺もヒラに会えないの辛いけど、たまには外の空気吸いなよ。ちょっとは気楽になるかもよ」
「外の空気ってか…旅行だけど…フジ、ありがとう」
「何それwキヨらしくない…w」
「こーすけにも同じこと言われたわ…w」
「意思疎通だねー」
車で空港まで行って、飛行機でイギリスまでらしいし急だけど1泊2日の予定だし、こーすけにも伝えてあるから大丈夫だろう。
イギリスに着いてしばらく歩いてると、俺の視界の端に見覚えのある人物が写った。
「ごめん、フジ。ここで待ってて!」
「え!?ちょ、おい!キヨ!」
俺はフジを置いてその影を追いかけて走った。
息を切らして必死に追いかけた。見失わないように慎重に、でも必ず目から離さないと言う意志を持って。
その人物の真後ろまで近づき手首を掴んだ。
「…っは、待てっ!こっち向けよ!」
体をビクッと跳ねさせゆっくりとこちらを振り向く。
俺の目には探してた人。ずっと探してた人。ヒラが立ってた。
「キ…ヨ…?どうしてここに…」
「それはっ…こっちのセリフだ!探してたんだぞ!お前こんな所で何してんだよ!?」
「キヨ、落ち着いて…ここじゃ人目に…」
「関係ないだろ!今!お前の口から聞きたいんだよ!」
周りにどう見られようと関係ない。俺はヒラを離すつもりは微塵もなかった。
それにどうせ日本語なんだ。通じはしない。
「っ…分かっ…たよ…話す、話すから…」
俺はヒラの口が動くのをずっと見ていた。俺達から離れてこんな所に来た理由を一字一句聞き漏らさないように。
「あの日、俺は落ちて死んだと思わせようとしたんだ。俺そっくりの死体も用意するはずだったんだけど替え玉が見つからなくてね…それは奇々怪界な事件として処理されるかなって思ってたんだけど…甘く見てたみたいだね…俺は単純にキヨから逃げたかったんだよ。離れたかった」
「それはなんで?」
「それは…言え…ない」
「なんで?」
「なんでもいいでしょ?キヨには関係ない…」
「関係ある。だって…」
言おうかどうか躊躇った。もし言ったらこの関係が壊れてしまう気がしたから。
でも、このチャンスを逃したくない。もしまた離れたら今度こそ俺は深く後悔するだろう。
だから伝えるよ、ヒラ。
「俺はお前のことが好きだ」
「嘘…でしょ?俺のことからかってんるんだ…だってそうでもしないとキヨくらいの人が俺のこと好きだなんて…そんな…」
「嘘じゃない、俺の目見て」
「っ…でも、俺は…」
「ヒラは?俺のこと、どう思ってる?ヒラの言葉でいい、聞かせて欲しい」
何でも良かった。拒絶されても、受け入れられてもヒラに対する俺の心は変わらない。
ただ今直接ヒラの口から言葉が聞きたい、そう思った。
「俺は…俺も、キヨのことが好き…」
「ほ、本当か!?じゃあ何で尚更逃げたりなんか」
「だって!分かってるから…認められないこと。世間から同性愛者がどんな目で見られてるか。俺だって無知なわけじゃない。同性愛者が世間からのはみ出し者の位置に居るってことくらい分かってる」
ヒラは言葉を吐き出すように語り出した。
「付き合って性行為をしたところで子供は残せないし、そうなれば必然的に母親に孫の顔を見せてあげることだって出来ない。そうなったら世間から何て言われる?親不孝者って言われたら?俺はいいけど、キヨをそんな目にあわせたくない。だから離れた。自分から。どうせ叶わないならいっそ諦めた方が楽だから。キヨのこと考えずに済むって、諦められるって…そう思った…」
「ヒラ…」
「でもダメだった…ダメなんだよ…何日経っても、何週間経ってもキヨが頭から離れない。忘れるために逃げたのに、キヨに会いたくなってる…これじゃあ何のために離れたのか分からない…俺はキヨに迷惑をかけたくないはずなのに迷惑をかけるような事ばかりしちゃう。そんな俺なんかキヨに好かれる理由もない、愛してもらえるはずもない…そう思って、だからここに…」
ヒラの目に涙が溜まっていく。今にも涙が溢れ出しそうな目は俺を見ずに地面ばかり見ている。
俺はヒラの顔を掴んでぐっと上にあげた。
「ばーか!」
「…へ?」
「ばか!ばかばかばーか!ヒラは本当にばか!」
「キ…キヨ…?」
「何でそんなこと気にすんの?そういうところってヒラの良いところでもあって、悪いところ。自分の好きなものより世間体を気にすんの?俺には出来ない。なんてったって俺はキヨだからな!自分の好きなものには一直線で世間がなんと言おうと俺は気にしない!
「ヒラが周りに何か言われて気になるんなら俺がどうにかする。お前らヒラを傷つけたら承知しないぞって怒ってやる!ヒラが好きだから、愛してるから、守ってやりたいって思うから。それでもまだ世間が恐いか?俺と居るよりも世間が恐いか?もちろん恐いなら恐いって言ってくれて構わない。ヒラのことを一番に考えたいからヒラの意見を言ってくれればそれでいいんだ」
「っ…キヨ…も本当に、ばかだよねぇ…俺なんかのためにそんな…こと言っちゃって…俺さ、そんなこと言われた…ら側に居ていいって思…っちゃう…よ?執拗いから…ずっと側に…居るよ?それでも本当に…良いの?」
泣きながら嗚咽混じりで言うヒラを優しく抱きしめた。
「上等だ。ちなみに俺なんか、じゃなくてヒラだからこんなこと言うんだからな。そこ誤解すんなよ?俺が好きで愛してるのはヒラ1人だ。それは変わらないから。な?安心していいから」
「うん…っうん…ありがとう…キヨ。逃げたりなんかして、ごめんなさい…」
「そんなこと気にすんなって!今ヒラがここに居るだけで、それだけでいいんだよ。俺は」
「本当に…ありがとう…!」
「いいっていいって!って…やば!フジ置いてきたんだった!ヒラ、一緒戻るぞ!」
「へ、ちょ、キヨ!待って!」
ヒラの手をひいて走り出した。もう二度と離さないようにちゃんと固く握りしめて。
あの後、戻ったらフジはすました顔で待ってた。てっきりかんかんに怒ってるもんだと思ってた…
まぁ、それには理由があって。どうやら、ヒラがここに居ることはフジもこーすけも知ってたらしい。フジがそういう情報収集得意なのは知ってるけど、まさかそんなことまで知ってたとは…オレには内緒にしてたんだと。酷くね?俺あんなに悩んでたのにさ。
今では俺とヒラとこーすけとフジとで平穏に暮らしてます。ちなみに俺とヒラは同棲を始めました。
俺たちは今、幸せです。
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