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☆バレンタインデー フジヒラ(学パロ)
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「よしっ、出来た!」
バレンタイン1日前。
俺の好きな人、フジに渡して告白するために慣れないお菓子作りでチョコレートを作った。
「結構ギリギリだったけど何とか間に合った…明日に備えて早く寝よっと」
明日は言わば戦争だ。フジはカッコイイし、まぁ素直にモテるしチョコレートが盛りだくさんだろう。
その中で渡すって…やばい、なんか緊張してきた…俺なんかが渡していいのか?
いやいや!弱気になっちゃいけない!好きな人に愛を伝える日なんだ。何したっていいじゃないか。余計な事考えないように寝よう、寝てしまおう…
綺麗にラッピングしたチョコレートを忘れないよう鞄に入れて俺は眠りについた。
――――――――――――――――――――――――
バレンタインデー当日
「フジ、おはよう!」
「あ、ヒラー。おはようー」
「フジ今日は何の日でしょうか?」
「えっ、うーん…あっバレンタインデーだね!」
「そうそう!フジは今年も嘸かしたくさん貰うんだろうね〜」
「いやいやwそんなわけないないw」
「去年のチョコの数やばかったじゃんw」
「たまたまね。皆優しすぎだよねー。俺にも義理チョコくれるなんて」
「本当に義理かなぁ…?」
「ヒラ何か言った?」
「ううん!何でもない!あっ、話してたらもう学校着いたー」
くそっ…渡すタイミングがない…
モブ女「あっ、フジくん。おはよう!あのね、これ良かったら貰ってくれないかな?」
ほら、靴箱で履き替えてるだけでさっそく来たぞ。
「いいの?ありがとう!」
あーあ、爽やかに笑顔決めちゃって。相手の子の顔赤いじゃん。こりゃ本命だな。
ていうか、これで気付かないフジって…鈍感…
「ほらね、フジ言ったでしょ。フジはモテるの」
「そんな事ないって!今のはたまたま俺がここに居たからくれた義理チョコでしょー」
「はぁー…フジって本当…」
「何!?そんなにヒラにため息つかせるレベル!?」
「そうですねー。じゃあ、俺職員室寄るから先教室行ってて」
「あっ、分かった…」
俺はフジを置いて職員室に行くふりして男子トイレの個室に入りこんだ。
この調子で行くなら道中たくさんチョコを貰うはず。それを見てるのが辛かった。さっき渡してた子にさえ嫉妬した。たったの1個目なのに。
いいなぁ、羨ましいなぁ。
普通に渡せるのが。普通に、会ったら渡して自然な素振りが出来るのが。好奇の目で見られないのが。
「女の子だったらなぁ…よかったのに…」
じわっと溢れそうになる涙を慌てて拭った。
目が腫れてたらフジに心配されそうだ。まぁ、そこまでフジが俺のことを見てるとは到底思えないけど。自意識過剰だな。
「そろそろ行かなくちゃ」
時計を見たら後10分で鐘が鳴る。走って教室に向かったら何とか滑り込みセーフだった。
「はぁ…はぁ…間に合った…」
「ヒラお疲れさまー。そんなに職員室混んでたの?」
「あ…いや、ううん。ちょっとトイレ行ってただけ」
フジのせいだよとは言えないしなぁ…
「ところでいくつ貰ったの?」
「何が?」
「チョコだよ!チョコ!たくさん貰ったんでしょ?」
「あぁ、チョコね!そんなに貰ってないよ。10個くらい?それに全部義理だろうしね…本命はなしかぁ…」
「ふーん。本命はなし…ねぇ?」
本っ当に鈍感クソ野郎だな!言わないけどさ!
――――――――――――――――――――――――
「あー!やっとお昼休みだぁ!」
「お疲れさま、ヒラ」
「ねぇ、フジ。今日は屋上でお昼ご飯食べない?」
「うん、いいけど…どうして?」
「あー…いやぁ、ね!たまには気分転換にもってね!」
「変なヒラwまぁ、いいけどね!行こー」
ふっふっふ…成功だ…!この調子で屋上に行ってチョコを渡して告白。
この順で行けば思いもよらない邪魔が入らない限り、チョコは渡せる。告白は…分からないけど…
「うわー!屋上広ー!」
はしゃいじゃって…可愛いけどね!
「早くー、ヒラ。食べよー」
「うん、あのねお弁当食べたら話したいことがあって…聞いてくれる?」
「いいよ!てか、話くらいいつでも聞くよ?俺どんだけ心狭いんだよw」
「ありがとう。嬉しいなぁ、フジは優しいからね」
「お、おぉwありがとう…なんか照れくさい!お昼食べよ!」
そう言ってフジは勢いよくお弁当を食べ始めた。
食べ終わったら、告白…出来るのかな…?
気持ち悪がられたらどうする?そんなくらいならこの関係を保った方がいいんじゃないのか?
でも、もしかしたらこんなチャンスないかも…
フジはモテるから、いつ彼女が出来てもおかしくないし。後悔するくらいならいっそのこと…
よし!決めた!
ってそうこうしてるうちに食べ終わってるんですけど…早くない?
「ふー、ごちそうさま!で、話って何?ずっと気になってご飯に集中出来なかった…」
「あ、あのね…まずはこれ。あげるね」
「わぁ!チョコだ!ヒラ料理上手だもんね!ラッピングも可愛いし、すごい!」
「ありがとう…気に入った?」
「もちろん!ヒラから貰えるなんて…嬉しいなぁ!」
「良かった…!でさ…本題なんだけど…」
「うん、何?」
「俺…あのね…俺さ…」
「うん」
「あの…」
口篭ってしまう。決めたのに。告白するって。
あと1歩、ほんの1歩が踏み出せない。
「フジ…ごめん…上手く言えなくて…でも…」
「ヒラ」
フジがふわっと俺の手にフジの手を重ねた。
「大丈夫だよ。ヒラの言葉で、ゆっくりで良いから言って?俺ちゃんと待つからさ」
フジの言葉を聞いたら落ち着いた気がした。口から出せなかった言葉が、今度は自然と堰を切ったように溢れてくる。
「うん…あのね、フジ聞いて」
「うん、聞いてるよ」
「俺ね、フジのことが好き。好きなの」
「…え」
「引いてるかもしれないけどごめん、言わせて。フジのカッコイイところが好き、優しいところも好き。髪も仕草も、笑顔もどんな顔でも好き。つまりね、フジの全部が好きなの」
授業の始まりのチャイムが鳴った。
そんなものはお構い無しに、言い続けた。
「重いよね。引くよね。男なのに男が好きになるなんて…おかしいって思わないわけじゃないんだよ?でもこれ以上留めてられない気がしたの。友達やめたいなら言って、気持ち悪いなら言って。俺の話はこれでお終い。何か言いたいこと…ある?」
一通りぶちまけて、スッキリした。今ならどんな言葉でも受け止める。覚悟は出来てる。
「あのさ…ヒラ。なんて言うか…嬉しい…」
「…んっ?」
「俺もヒラのこと、ずっと好きで…付き合えたらいいって思ってたけど気持ち悪いよねって諦めてたから…やばい、めっちゃ嬉しい…/////」
「ほんと…に…?」
「今嘘つけないでしよ…/////つく余裕もない…/////」
「そうなんだ…/////やばい、本当…なんか…っ」
顔に熱が集まるのと同時に目から涙が流れた。嬉しさと驚きと、もう色々な感情が混ざってぐちゃぐちゃだ。そんな中でも嬉しさだけは一際強くてハッキリと感じることが出来た。
「ヒラ、泣いたら可愛い顔台無しだよ?」
「でも、嬉しくて…っ成功するって思ってなくて嬉しくて…嘘じゃないかってどうしても心配で…っ」
「こういうのって本当は俺からしなくちゃいけないのにごめんね、意気地無しだからヒラからさせちゃって…でも俺本当にヒラのこと好きなんだよ」
フジはぐいっと俺の体を引っ張って近付けると軽いキスをした。
最初は何が起こったか分からなかったけど徐々に理解すると頭の中が真っ白になった。
「キス…した…?」
「したよ。これで分かった?俺がヒラのこと好きってこと」
「…っ!/////分かったから、分かったから…/////お願い、離れて…?/////」
フジはまだ顔から15cmくらいの所にいる。下手に動けばまたキスをしてしまいそうなくらい。
「俺が近くに居たら嫌?」
「違う!そうじゃなくて…心臓が持たない…/////」
心臓はものすごい速さで動いていた。聞こえてるんじゃないかって心配になる。
「ヒラ、可愛い…好き、好きだよ。大好き」
「本当に…やめてってば…/////」
「まだ可愛いヒラを見ていたいんだけど…」
「でも、ほら。そろそろ授業行かないとまずいかもよ…?」
「ヒラは俺より授業なの?」
「そういう聞き方狡いと思います…分かってるくせに」
「ヒラの口から聞きたいなー」
「フジ…の方が大事…です…/////」
「よく出来ました!」
頭をぽんぽんと叩かれる。子供じゃないんだからと思いつつも、やっぱり好きな人からされることは何でも嬉しいものだ。今まさに痛感してるわ。
「じゃあ授業戻ろっか。って言っても1つはサボったんだけどねw」
「いいじゃん、そのお陰で相思相愛になれたんだから」
「それもそっか!…好きだよ、ヒラ」
「しつこい…/////」
「やっぱ可愛い。好き」
「本当しつこいー!」
「ごめん、ごめんって!まぁ、怒ってるところも可愛いんだけどね?」
逃げるフジを追いかけて教室まで戻った。
結局先生に職員室に呼ばれたけど、そんなことは全く苦にならなかった。
なんてったってフジと付き合えたんだから。バレンタインデーに付き合うなんて漫画みたい…
俺は幸せを噛み締めて、今日を絶対に忘れない。
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