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☆隣の彼が気になる件 フジヒラ
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こんばんは、フジです。大学2年生してまーす。
いきなりなんだけど、最近の俺の話聞いて。
つい先日ってまぁ、1週間前なんだけどうちのマンションの隣の部屋に引越して来た人が居てね。
可愛い女の子だったらいいなーってちょっとワクワクしてたわけ。だって俺男なんだもん。そりゃあ期待するでしょ。
最近付き合ってた彼女と別れて鬱ぎみだったからさぁ…
まぁ、置いといて。引越しが落ち着いて数日経った一昨日なんだけどその人が引越しの挨拶に来たんだよね。
ドアを開けてみるとね、
「こんにちは。隣に越してきました、えっと…平川です。よろしくお願いします」
って言ってね、なまら可愛い男の人が挨拶しに来たわけ。
いや、男に可愛いっておかしい。そう思うじゃん?リアルで見てみな?マジでめちゃくちゃ可愛いから!
平均より低めな身長に、少し高い声、それに雰囲気がもうなんか周りにぽわぽわって花が見えるレベルで癒し系!
こんな人に可愛くないなんて言ったらそれこそ失礼ってもんでしょ!
思えばあれが一目惚れってやつだったんだなぁ…
一目惚れで心臓バックバクだったんだけど、その時は冷静に
「あぁ、ありがとうございます。よろしくお願いします」
って言ったんだけど今は後悔の渦に苛まれてる…下の名前と軽い会話くらいしとけば良かった…緊張してすぐにドア閉めちゃったから…ああ!あの時の俺何してんだろ!?
もうその時は既にかなり好きだったなぁ…
で、こっからがちょっと不思議でね。
一昨日来たのは男なんだけど、たまたま昨日ドアを開けたら隣もドアを開けて出てこようとしてたから顔を見たくてじっと見てたら、出てきたのが女の人だったんだよね。
平川さんだと思ってたからちょっとガッカリしたりして…
いや、その人もなまら可愛かったんだけど!なんでだろう?ルームシェアとか?でも顔似てたから双子かも…付き合ってて同棲とかしてたら早くもこの恋は終わるな…
あ、その人は普通に「おはようございます」って言って去っていったんだけど、気になって気になってしょうがないんだよね。俺の恋の行方もありますし?
今から聞いてみようかな?聞くくらいならいいよね?本当にいい?
うーん…よし、今から行ってくる!そしてあわよくばお近づきに…なんてね。
ピンポーン
「…っ平川さん…いらっしゃいますか?」
「はーい」
ガチャ
「あ、えっと…藤山さん?どうしました?」
あ、俺の苗字は藤山ね。
「あの…ルームシェアとかってされてますか?」
「えっ…どうしてそんなこと聞くんです?」
そりゃあ、1度会っただけの奴に聞かれたら不安になるよなぁ…ここは正直に…
「いや、今朝可愛らしい女の人が出てくるのが見えてルームシェアとかかなって…気になったので……っすいません、帰ります…/////」
なんか聞きに来たの恥ずかしくなってきた…帰ろ…
「あ、待って下さい!その…秘密に…してくれますか?」
「何をですか?」
「女の人が出てきたの…」
「構いませんがどうしてです?」
「あの…僕は、その…その女の人なんです…/////」
「…へっ?あー、えっと…ごめんなさい、よく意味が…」
「その女の人…僕の女装した姿なんです/////」
「へぇー。…って!なんでそんなことに?!」
「罰ゲームだったんです。1日限定ですが女装するっていう…うわ、本当恥ずかしい…/////」
頬を赤らめる彼を可愛いと思った。
「そういうことかぁ…納得です。分かりました、このことは僕達だけの秘密にしましょう」
「ありがとうございます!お隣さんが優しくて助かりました…」
ほっと胸をなでおろす彼に俺は条件を加えた。
「ただし、その代わりに、俺と友達になってくれますか?」
ここで友達になっておけば、ゆくゆくは親友になりその内付き合ってりなんかして!?
「そ、そんなことでいいんですか?本当に優しいお隣さんで良かった…もちろんです!なりましょう!あ、LINE交換します?」
「する!あ、じゃなくて…します!」
「ふふ、敬語やめましょうか。タメで大丈夫ですよ?年齢とか関係なしにしましょ!」
「うん!よろしく!」
彼と友達になれたことは大きな喜びだった。接点を持てたのはでかい。秘密も出来たし?これならもう少し近付けるかも…
「あ、名前言ってなかったよね。俺はフジって言います。よろしくね!」
「フジ…いい名前だね。僕はヒラ!こちらこそよろしく!」
ニコッと笑う彼…ヒラはもうそれはそれは天使かと思うくらい…って変態か!ともかく名前ゲット!!名前呼びでタメ口、今日だけでだいぶ接近したぞ!
「じゃあ、俺そろそろ寝るけど…ヒラは?」
「僕も寝るよー。おやすみなさいだね」
「うん。あ、分からないこととかあったら何でも聞いて?引越して来たばかりで不安かもしれないから…あ、友達が居るのか…お節介だったね。ごめん…」
「ううん!そんなことない!フジってなんか雰囲気とかイケメンだし、僕の友達には勿体無いくらいで…何かと頼っちゃうかもしれないけど…よろしくお願いします!」
「なんか照れるな…/////それじゃ、おやすみ。ヒラ」
「うん、おやすみ。フジ」
そう言ってヒラは扉を閉めた。
すごくない!?寝る前に名前呼び合うって恋人みたいじゃない!?こんな急接近凄いことでしょ!いやー、コミュ力上がっちゃった?上がっちゃったかな?
って、なんで俺夜中にこんなテンション高いんだよ!接近できたくらいで何浮かれてんの!?これから恋愛に発展させて行かなきゃいけないんだよ!?
本当テンション高いな…寝よ…
――――――――――――――――――――――――
翌朝
俺は大学に行く準備をして家を出た。そしたら、なんと隣からも扉が開く音がした。
「あっ!フジ、おはようー」
なんとも可愛らしい笑顔で挨拶されると…うーん、さらに惚れてしまうからやめて頂きたい。
「おはよう、ヒラ。ヒラお出かけ?」
「ううん、大学に行くの。フジは?」
「奇遇!俺も大学行くとこ!もしかして同じ大学だったりして…?」
大学名を聞くとなんと同じ大学だった。そしてなんて素晴らしいことに同い年で同じ学部だと言う。
神様は俺に味方したようだ…!
「じゃあ一緒に行こうよ。僕フジともっとお話したいなぁ」
「い、いいよ!むしろ俺も話したいこといっぱいで!」
はっ!少しがっつき過ぎたか…?ゆっくり距離を縮めた方が…
「ふふ、フジって面白い。僕フジとなら親友になれる気がする!」
「ほ、本当?良かった…俺も、俺もそんな気がする!」
「あっ、フジ!もうそろそろ行かないと間に合わなくなるよ!急ご!」
「マジ!?やばい!」
あー!もっとゆっくりヒラとお話したかったのに!!
時間が止まればどんなにいいか…まぁ、無理な話だけど…!
――――――――――――――――――――――――
なんとか講義に間に合った俺たちは隣に座りあってヒソヒソ声で話していた。お互いの趣味や好きな物、ちょっとした秘密なんかも…
終わった後、疲れてはいたもののまだまだヒラと一緒に居たいと思う気持ちがあったから部屋におじゃまさせて貰った。今日は運良く友達も来ないと言う。
ヒラの部屋はとても綺麗だった。同じ広さのはずなのに俺の部屋より広く見えたのはきっと綺麗に片付いていて、物も少ないからだろうと思った。俺の部屋は物が多いから…帰ったら片付けよう…
「ヒラって趣味なの?掃除」
「え?ううん、そんなことないけど…どうして?」
「いや、部屋すっごい綺麗だから。趣味なのかなぁ…って」
「あはは、ありがとう。でもそんなことないんだよ。見えてない所は汚いよ?」
「換気扇とか?」
「うん、そうそう。掃除しなくちゃとは思ってるんだけどなぁ…めんどくさいって思っちゃって…」
へへ、とはにかむヒラも可愛い…何しても可愛いって大丈夫かな?誘拐されない?
「俺よりマシだよー。俺なんか見えてるとこすら汚いよ」
「フジは潔癖だと思ってた。なんとなーくだけどね」
「真逆だw」
「真逆だねぇw」
こーやって平和にほのぼのと過ごせるっていいなぁ。しかも、それが好きな人となんだから尚更か。まぁ、うん、叶わない恋なんだけどね。
あぁ、気分はまるで悲劇のヒロイン…なんてね。
「フジー、夜ご飯とか食べてく?もし暇ならだけど」
「えっ!いいの!?」
「ダメなの!?全然いいよー」
「ヒラ優しい…惚れるわ…」
惚れてるけどね。
「簡単なものしか作れないんだけどいい?」
「うん、もちろん!楽しみ!」
「期待し過ぎないでねー」
エプロンを着けてキッチンに立つヒラの後ろ姿を見てるとまるで結婚してる気分…!
しばらく待ってるとヒラが皿を持ってきた。
「はい、炒飯だよー」
「おお!美味しそう!すごい!」
「へへ、ありがとうー。さ、食べよー」
「モグモグ…美味しい!ヒラ凄い!」
「もー!そんな褒めないで!照れちゃうでしょ?」
「はー…こんな料理作れる人と結婚したいなぁ…ヒラ…結婚しようか?」
これで様子見て反応が良かったらアタックしてみようかな…内心ドキドキだけどこのチャンスを逃さない!
「えー…うーん、いいよーw結婚しようかw」
ネタだと思われてるなぁ、完全に。
うん、まぁ当然の反応だ。ここからどう進めて行くかが腕の見せ所だな。ここは一旦ネタとして返しておこう。
「やったーwじゃあヒラが奥さんね。仕事から帰ったら抱き締めてよ。今から抱き締める練習してもいいよ?w」
「ふふ、いいよー。おいでー」
手を広げるヒラ。え、いいの?マジで?本当に行くよ?
「お、おお/////ヒラいい匂いする…」
密着するとヒラの服から柔軟剤のいい香りがした。
「え、なんか恥ずかしい…/////どう?抱き心地は?フジ好みですか?」
「うーん、最高ですね」
「それは良かったですwではそろそろ離れて頂いても?」
「嫌です…ね」
「甘えんぼかっ!!」
「いいじゃん?今俺たち結婚(?)してるんだし」
「もー、フジってば。そういうのは本当に好きな子にするの!僕が女じゃなくて良かったねー。誤解されてたかもよ?」
「誤解して欲しいんだけど…?」
「…っはは、だから本当に冗談ならそろそろ止めた方が」
ヒラに密着してた体を起こした
「だからっ……本気なんだ…」
ヒラの綺麗な目をしっかりと見つめて言った。ヒラも俺のことを見つめていた。
実際そうしていた時間は、ほんの数分だったんだろうけど俺には10分もしていたように感じた。
普段あまり感じない異様な緊張感の中、先に口を開いたのは俺だった。
「ヒラは…どう思ってる?俺のこと」
徐々に距離を縮めて行く。ヒラの後ろは壁だし、このまま近付いて行けば話くらいは聞けるはず。
「フジっ…ごめん!頭冷やして来る!」
ヒラはそれだけ言うと、玄関から外に出てしまった。
かく言う俺は1人部屋に取り残された。
どうすればいいのか分かっていたような、分かっていなかったようなどっちつかずの気持ちで数分ヒラが出て行った玄関を見つめた。
「…俺…行かなきゃ!」
はっと気がついたら玄関を飛び出していた。ヒラを追いかけなきゃ、そんな思いが体を巡る。
ヒラは目で見える距離に居た。全力ダッシュすればなんとか追いつきそうなくらいの距離。
俺は走った。走ってなんとかして捕まえたくてしょうがなかった。
こんな必死になるのなんて久しぶりだ。
どうしてこんなに必死になれるんだろう?
答えは簡単だ。もう見つけてる。ヒラのことが好きだからだ。好きは時に人をおかしくさせる。走っても苦にさせないのもその一つだ
「つ…捕まえ…た、っはあ…っ」
ヒラの手を握った。息が上がる。
「フジ、ごめん、僕…勝手に逃げて…向き合おうともしなくて…」
「いやっ…当たり前の反応だし…あー!もう!ちょっと待って…!息が…」
口で息をするとどうしても会話がスムーズに行かなくて困る。とりあえず近くにあった公園のベンチに座って息を整える。
「はぁー…やっと落ち着いたー!」
「ごめんなさい、僕のせいで…」
「何言ってんだよ。どう考えても俺のせいじゃん?ヒラが逃げた理由もヒラと仲良くなれたからって調子乗って告白…なんかしちゃった俺のせいだしな。俺こそごめんな」
「違うよ…フジのせいじゃない!咄嗟のことで頭回んなくて逃げて…頭回らなかった僕のせいだよ。フジは気持ちを伝えてくれただけなのに…」
「ヒラは優しいから、だからそんなこと言ってくれるんだな。どう考えても俺のせいなのに…」
「それを言うならフジだって、優しいから俺のせいだって言ってくれるんでしょ?お互い様だよ!」
「拉致あかないな…w」
「…本当にねwあのさ、フジ…僕ね。まだよく分からないんだ。フジのことは今正直凄く良い友達ってくらいにしか思えないの。まだ好きとかそういう感情はまだ無いんだ…ごめんね」
「いいよ、ヒラが謝ることじゃないからさ」
「でも…勝手なお願いになるかもしれなんだけど…お友達でいて欲しいの。まだフジのことは恋愛対象として見ることは出来ないけど、いつか気持ちに答えることは出来るかもしれないし…つまり何かって言うと僕はフジと友達やめたくないよ!」
「奇遇だね。俺もヒラと友達やめたくない。多分ヒラを恋愛対象として見ないことは出来ないと思う。そんな気持ち悪い俺とも友達でいてくれる?」
「うんっ!もちろん!それに気持ち悪くなんてないよ。人を好きになるって凄く綺麗な気持ちだから。好きになれるフジはきっと凄く綺麗なんだね」
全く…どっちが本当に綺麗なのか…ヒラに教えてあげたいよ。
ヒラほど純粋で綺麗な人見たことないのに。
「…ありがとう。さっ、帰ろうか。夜はまだ寒いから」
「うん、帰ろう。今日は朝まで呑む?」
「フられた記念に?」
「そうじゃないけど…なんか呑みたくない?」
「冗談。俺も呑みたい。お酒足して帰ろー。今日は呑むぞー!」
「明日の朝二日酔い決定だねー」
翌朝酷い二日酔いに悩まされたのは言うまでもない…
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