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家へと向かう電車は下りなため、混雑はしていない。
先ほどまで飲んでいたであろう大学生が眠りこけているのと、出勤前のOLが必死に化粧をしている以外にこの車両には人の姿はなく、顔見知りがいない安堵を覚えながらスマホを取り出す。
時刻は既に7時半を回っており、家に寄り着替えた後に学校へ向かったら遅刻ぎりぎりの時間になっていた。
家は嫌いだ。
2LDKと1人で過ごすには広いスペースに、嫌な思い出がたくさん詰まっている上に、ボロい。
たった6部屋しかないアパートの、一階奥。日当たりが悪く、自分しかいないこの場所が、唯一の居場所なのかと思うとおかしくなりそうになる。
UFOキャッチャーの景品である薄汚れた変なマスコットがついただけの鍵を差し込み、部屋へと入った。
誰にでもなくただいま、と呟き、壁に掛けてある制服へと手を伸ばす。
次の土日にはクリーニングに出さなくてはならないな、と考えながら、朝飯を食べ損なった事を思い出して、冷蔵庫へと向かう。
水と、薬と、もうダメになったと思われる貰い物のキャンディチーズしか入っていない事を確認して落胆する。
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