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遠いはずのチャイムがやけに大きく、近くに感じる。
四階を越えて、屋上前の踊り場まで一気に駆け上ったせいで心臓は鼓動を早め、せわしなく鐘を打っていた。
廊下のざわめきが落ち着くのが分かる。
しんと静まり、刺すような冷たい空気が占領するこの場所は、この敷地内で唯一落ち着ける場所だ。
屋上への扉の横には、高い位置に窓がある。
窓から差し込む光が僅かに当たる階段の終わりに腰をかけて、ゆっくりと息を直す。
膝を抱えて、暖かな光を背に受け、しばしぼんやりとしているとポケットの中の僅かな振動に気付いた。
この携帯の振動なんて、結局客からか迷惑メールだ。
外界から遮断されたくて選んだ場所でさえ、自分が存在しないということをゆるしてくれない。
確認のため携帯を開く。
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