アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
入学前日
-
あの後、本当に送られて来た試験問題を解き、送って数日、結果は合格だった。
まぁ、其れ程成績は悪く無かったから、そこそこの点は取れたんだろう。
書類の細かいところは母さんに任せた。
父に任せると恐らく大変なことになる。
そして、いよいよ入学前日。
昼前から荷物を詰めはじめて、ああだこうだと皆がそれぞれ、ちょっとずつ言うので、終わったのはもう夕方だった。
「…はー…疲れた」
本棚やクローゼットからは中身の八割以上が段ボールに詰め替えられ、すっかりすかすかになってしまっている。
ベッドにごろん、と転がっていたら、父さんが顔を覗かせた。
「おー、すっかすかだな。お疲れさん」
「ほんと…皆、ちょいちょい言ってくるし…時間かかった…予定では三時までには終わって、ごろごろ出来てたのに…」
息を大きく吐きながら言うと、くつくつと面白そうに笑った父さんが俺の頭に手を伸ばし、髪をかき混ぜた。
「…ちょっと」
「はは、お前さんは誰に似たのかね?うちにこんな無気力マイペースいたかなー」
「…俺は父さん似だと思うけど。だって、絶対母さん寄りじゃないでしょ」
「んー、まぁ、そうだな。母さんは基本的に明るいからな~…でも俺か?」
「父さんだろ。…放浪癖あるし、マイペースはそっち」
「結構言うな?椛」
「…もう、これからは“椛”じゃない」
かき混ぜられてぐしゃぐしゃになった髪の隙間から、父さんを見上げた。
「そうだな…これから、少なくとも在学中は“早瀬 柊”だ」
「…じゃあ、何でまだ“椛”って呼ぶの」
「だってなぁ、どうなったって、お前さんは俺の子供だしなぁ?椛は椛だからな」
父さんはけらけらと笑う。
「それにしても全寮制の男子校ねー…気を付けろよ~?ああいうとこって同性愛多いってか殆どだし、お前狙われるぞ?」
「…は?俺が狙われる訳無いじゃん…何言ってんの」
「いや、俺と母さんの血引いてるし、そんな悪い顔じゃないから分からねぇよ?」
「んー…」
顎に手を添える父さんを見る。
京谷 司貴。亜麻色の髪で、放浪癖あるから、割と体つきはしっかりしてて、イケメンと言える。
これで42歳とは、まぁ、思わない若々しさ。
母さんも美人で明るい。
確かにこの二人の血は引いてるけど…
「無い」
「そうか?」
「うん」
「…自覚無しかー。まぁ、榎がいるし大丈夫、か」
「?」
「いや?何でもねーよ」
「そう…あ、そもそもこれ、父さんのせいでしょ」
「すまん、好奇心に負けた」
「負けないで」
ちなみに、この日の夕食は誕生日とかクリスマスみたいな、ちょっと豪勢なものだった。
食べて、部屋に戻って、明日からのことを考えながら眠りに落ちた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 11