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愛を感じた
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指先がぷるぷるゆれてなかなか通話ボタンが押せない。くそっと膝をつねって何とか焦点をあわせてほとんど突き指する勢いでプッシュした。
がちゃり、と頼りない糸が繋がった音がした。
『今どこにいる』
低くいつも通り落ち着いた声音に、心の中で溜まっていたどろどろがあふれ出してきた。抑えようと思ったけど気が変だった僕はほぼたたきつけるようにスピーカーに怒鳴る。
「なんでそばにいてくれないの!?僕すごい怖がってるのに!怖いのに!なんで肝心な時にいてくれないのさ!リョウヤ!」
理不尽だとわかっていても動いてしまった感情はもう止まらない。リョウヤは何も言わずじっとこちらに耳を傾けている。
すごい風を切る音がしてくるからバイクにでも乗っているのだろうか。もしそうなら片手運転とはなんと無謀なのか。
それだけ急いでくれているというのに、僕は。
「僕のこと好きなんだろ!?だったら守ってよ!そばにいてよ!」
興奮したままはきだした言葉に、僕は気づかされる。
あんなに嫌がっていた日々が、今はそれほど悪くないと思えてきている自分がいることを。
『わかった守ってやる絶対に。そこにいろ』
トーンは変わらなかったけど、決意が込めらた声音に不思議と冷静さを取り戻せた。
『どこにいる』
「えーっとクローゼットの中!場所は二階かな…?あっナンバープレートは125だったきがする!」
『十分だよくやった。必ず行くからおとなしく待ってろ』
それだけ言うとあっさりリョウヤは通話を絶ってしまった。でも心細さはもう感じない。
僕は膝に顔を押し付けてまった。
何十分待っただろうか。疲れてきたとき、きぃっと静かに部屋のドアが開かれた。
腰を浮かせかけたとき、クローゼットの扉がゆっくりと開けられた。
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