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隠された秘密主義者
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ぶっちゃけてしまうと、この僕には人様に語れないような趣味があった。
公にしたらその瞬間人生が終わりを告げるかのようなレベルの隠し事が。
それは親にも妹にも誰にも言えない。
いえばその人から僕に向けられるまなざしの意味が変化してしまうと思うから。というか絶対にする。悪い方法に。
だからこそずっと胸に秘めていた。冷たい視線や同情なんていらない。
別にどんな趣味だろうがその人の個性なんだからいいじゃない!と思っている平等主義の方もいると思うが。
なら、幼馴染に女装癖があると知ったときの顔を写真に撮ってみろ。
みんな似たり寄ったりの引き顔をしているだろうから。
そんなわけで、僕、上谷祐樹は女物の服装に身を包み、雑誌に載っているようなメイクを施し街に繰り出すのだ。
すれ違う男たちはウィッグを被った男に気付かず、むしろ羨望の視線を背中に突き刺してくる。愉快でたまらない。
こういう妙な快感が癖になってきているのは自覚しているが、楽しいのでやめられない。
しかしこんなにばれないものなのかね。
鼻歌を吹きながら闊歩する僕の心情は、この世の男たちの節穴を嘲り笑うものばかりだ。
あーオシャレするのも楽しいし、馬鹿な男たちの視線を釣るのもまた楽しいな。
浮かれている僕の背後に、非日常がたてる足音は届かなかった。
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