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期待を裏切る悪夢
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『結婚してくれ』
『いやちょっと無理無理なんで近づくの無理だって』
『お前が男であろうと関係ない』
「うぎゃああああ!」
どうにも僕は夢見が悪いようだ。早鐘のように早まる鼓動に顔をしかめ、上体を起こした。
そうだ。目が覚めたんだからあの地獄のような悪夢は去り、自分のベッドで眠っていたはず…。
現実はツライ。僕が意識を失った場所とまったく同じ部屋だった。座っていたソファに寝かされていたらしい。
「寝汗やばい………」
「起きたか」
「うおっ!いつの間に!」
目もとの流れてきた汗をこすって目をあけると、いつの間にやら向い側のソファにリョウヤが座っていた。先ほどからずっといたのだが、自身の中で沸き起こる不可解な衝動に悩まされいた僕が気づけるはずもない。
「なっなんだよ。見るなよ!」
「何故だ」
「嫌だからだ。つーか僕って家に帰れるの?」
結構大切な疑問を投げ捨てると、リョウヤは少し戸惑った様子で説明しようとしたが、ドアが大きく開かれた破壊音が横入りしてきた。
「あっすまねえ、お取り込み中だった…か?」
僕を連行してきたあの白いタオルの男が、蹴破った足を引っ込めて中に入ってきた。するとばっちり僕と眼が合う。リョウヤといい勝負の無表情がみるみる驚愕に満ちる。
「おいお前…男だったのか?」
「あっはいまあ一応」
そう答えると、卒倒しかける白タオル。だが彼は僕のような醜態はさらさず、失神手前で何とか意識を取り戻す。こめかみ辺りに青筋を浮かべ、大股で歩み寄ったリョウヤの胸倉をつかみ上げた。
「どうするつもりだあんた!一般人の変態男攫って何の意味があるんだ!」
「こいつはおれの嫁だ」
「はああああん?せめて本物の女連れてこいや死ね。一回死んでこい!」
「話がまったくみえないんだけど」
「あぁん?あんたも男ならそう言ってくれ。じゃなきゃ連れてこなかったのに」
さらわれた立場なのになんで怒られなければならないのか。理不尽な文句に僕の堪忍袋は簡単にちぎれた。
「うっさいなそもそもあんたが無理やり拉致したんだろあの状況で何の目的もわからないのに性別明かせって何無理言ってんだこの馬鹿が!」
一気にまくしたてると、タオル男はあっけにとられたようにきょとんとする。もごもごと口を動かすが、僕の豹変ぶりになんと返せばよいか悩みすえたうちに、ふぅと溜息でごまかした。
「また気の強い面倒な変態を拾ってきたな」
「俺の嫁だからな。当然だ」
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