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タバコは二十歳になってから
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事務所内を暇つぶしに歩いていると、廊下の踊り場でたまってる集団と遭遇した。
僕の存在に気付くと、全員慌てて立ち上がり深々とお辞儀をしてくる。
「ちちちちちーっす!ユウさん!」
この反応に僕が戸惑うと勘違いしている人は何人いるだろう。
普通のヒロインなら「あっ頭さげないでくださいよぉ」と慌てふためいて女子力アピールをすると思うが、真の乙女とはそんな風に弱さを見せてはいけないと僕は思っている。
「ご苦労様。ちょっとそこどいてくれるかな邪魔なんだけど」
慣れとは恐ろしいもので、とっくの昔に慣れてしまっていた。
むしろ高圧的な態度の僕に逆らうことなく、不良たちはそそくさと隅っこに移動した。面白くてたまらない。女王様にもでもなったつもりだ。
今の僕はさぞかし黒い笑みを浮かべていることだろう。
「ありがとう」とそっけなく言い放ち通り過ぎようとしたが、好かない煙が鼻腔をくすぐった。
「………おい、あんたらタバコでも吸ってるの?」
厳しいまなざしを向けると、一人の男が背中にまわした腕を更に隠そうとする。
しかし火のないところに煙はたたないとは本当のことで、しっかりタバコの煙があがっていた。
「おいそこの男。あんた、何歳なのかな」
「こここことしで16に…」
「そうなの?おめでとう!じゃねえよ法律は守れや糞不良が!」
容赦なく頬を殴り飛ばし、転がった煙草をハイヒールの先で踏みねじる。制裁を加えられた男と僕に視線を交互に移し、恐怖で他の連中はおびえているが自業自得だ。
「それに煙草の煙嫌いなんだよ煙たいな!事務所内では禁煙ね!煙草禁止!」
「わっわかりました!りょっリョウヤさんもですか?」
「はあ?なんであいつの名前が出てくるのさ」
記憶によればリョウヤが煙草を吸っているシーンを目撃したことはない。
そういうと男は恐縮しながらもたどたどしく首を捻った。
「おかしいですね。リョウヤさんも結構なヘビースモーカーなはずなんですけど」
「そうか…ちなみにあいつ何歳?」
「えーっと…まだ19だったかな」
そんなに若い男が数百名にも及ぶ不良を束ねているなんて凄いな~という感嘆は起こらず、明確な殺意と敵意が膨れ上がった。
それを察した男は悲鳴をあげる。
「僕さあ…本当にルール守らないやつ嫌いなんだよねぇ。それがあの変態野郎に当てはまるんなら、遠慮なく殴り飛ばしてもいいってことだよねえ!」
これでセクハラ以外の正当な理由であいつを屈服させられる。僕は口角を釣り上げて来た道を逆走した。
待ってろ変態不良!僕が正してやる!
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