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悪童を御成敗!
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「リョーウーヤーくーん」
ゆっくりドアを開けながら間延びした声で名前を呼んでみると、中から「なんだ」と無愛想な声音が返ってきた。
僕じゃなかったらきっと返事は返ってこない。
どこまでも興味のないものは興味がない彼は自分の部下に対してもその法則を当てはめる。
どうでもいいというのではなく、仕事以外のプライベート的関係を持ちたくないという意味である。
僕だけ問いかけにまともに答えるリョウヤだったが、手加減するつもりはない。
ソファに腰をかけて新聞を読んでいたリョウヤに近づくと、リョウヤは立ち上がろうとしたがその前に黒髪を押さえつけて無理やり押さえこんだ。
突然脳天を押されるリョウヤだったが、狼狽の気配はない。
ただ無表情で圧力と戦っていた。
「どうした急に。これは俺への愛情表現と受け取ってもいいのか」
「いいわけないだろ!僕は怒っているんだよ!聞いた話によるとあんた、煙草吸うんだって?」
「それがどうした」
「自分の年齢言えるかなー?んー?」
イライラしてつい手に力が入った。リョウヤが少しだけ顔をしかめる。
「なんだ幼児プレイか。俺にそんな趣味はないがお前がしたいならやってやってもいい」
「まじめに答えろ!」
「19歳。籍を入れるにはあと1年待ってくれ」
「煙草は何歳からだ!法律違反だぞ!僕、煙草嫌いなんだよ!」
「だからお前の前では吸っていないだろう?」
まくしたてていた最中に、そんな呟きがこぼされ、思わず抑えつけていた手を外した。
乱れた黒髪を片手で整えながらリョウヤは僕を澄んだ瞳で見上げてくる。
僕のために禁断症状がでてくるほど中毒性のある麻薬を我慢してくれているのだ。別に僕がいなければ吸えるのにそのリスクを冒してまで一日中くっついてくる。それほど僕が好きで僕のためを思っているんだろうか。
そう思うと、なんだかときめきが…
「おこるわけねえだろうがよっ!」
「ぐはあっ!」
握りしめた右拳を容赦なく振り下ろすと、リョウヤが苦悶の叫び声をあげてソファから転がり落ちた。
苦痛に悶え苦しむリョウヤを見下ろし僕は舌を突き出した。
「なに好感度アップ狙ってんだ。結局吸ってるってことだろ?僕がいないときは吸ってないんだろ?じゃあもういっそ吸うな、害をまきちらすなくずが」
「それは…つまりお前にくっついて禁煙しろということか!」
「ちげぇよもう面倒くさいな!なにお前の言いたいこと悟ったぜ的表情してるんだよ!」
その日から全面的に喫煙禁止令が発布されたのだった。
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