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雨音10
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「立花、」
家へ向かうタクシーの車内で、窓にあたる雨粒を眺めてると、ふと恩田が話かけてきた。
「・・・お前、
階段踏み外したって、あれ嘘だろ?」
「....」
「ホントは何があったんだ?」
立花は恩田の方に一度顔を向け、また窓の方に視線をもどす。
「嘘じゃねぇし...」
ったく、...うるせーな....、
ホントのことなんて、先生に言えるワケねぇじゃん....
「お前、腹にアザあったぞ。
・・ソレ、殴られた痕だろ?」
「えっ...」
自分のシャツをめくって確かめると、確かに赤いアザが付いていた。
うわっ、あん時のか...
痕になってたのか....
「ちゃんと、何があったのか話せよ」
しつこく尋ねてくる恩田に立花は若干苛立ち、恩田の方は見ず早口で答える。
「・・だから、絡まれて、揉めて、そん時やられたんだよ」
ああ、また頭痛くなってきた...
「お前、そんないい加減な答えが通用すると思ってんのか?」
恩田は、顔を背けてる立花の右腕を掴み、グイッと引き寄せた。
「!」
その瞬間、体がビクッと震え、思わず恩田の腕を払ってしまった。
バシッ
「あ....」
やば、
「立花...?」
恩田は思いもよらない立花の反応に、驚いた表情を浮かべる。
「恩ちゃ、....あの、」
立花は、微かに震える指先をサッと背中に隠す。
「ごめ、....急に掴むから、びっくりして、」
何だコレ、...
自分の意思とは関係なく震える指先を握りしめ、立花は自分の反応に戸惑っていた。
オレどうしたんだ..
「立花、お前...」
車内に妙な緊張感が生まれ、立花は思わず身構える。
「別に、何でもねぇしっ...」
すると、タクシーがゆっくり停車し、自分の住むマンションに着いたことに気づく。
「...あっ、オレん家、」
「...ん?あそこにいるの土屋か?」
エントランスにいる制服姿の人影に気づき、恩田が呟く。
「え?、あっ!」
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