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青空1
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真っ青な空、白い雲、飛行機の音が鳴り響く
ゴォォォォ...
チチッ
鳥の鳴き声と羽ばたく音が近くで聞こえるが、
姿は見えない。
立花は窓際の席に座り、頬杖をつきながら外を眺めていた。
「テスト返却するぞー、名前呼ばれたら取りに来いよー」
「立花、どうだった?」
授業終了後、ツッチーがやってきてドカっと前の席に座る。
「オレ、ギリギリセーフ!」
立花は自分の点数を見ながら、諦めたように呟く。
「どーもこーもねぇよ、全滅、」
「・・ん、まぁーな...、立花今回はしょうがねぇよ、
最近学校に来てなかったし、な?」
怪我で学校を2週間近く休み、
久しぶりに登校するとすぐ1学期の期末試験が始まった。
もともと良く分かんないのが、さっぱり分からない状態になり、
全科目赤点という自分史上最低の結果となった。
「ってか、今回だけじゃなく、オレいつもこんなんだけどな?
夏休みに補習行くのめんどくせー」
立花はまだ包帯を巻いたままの左腕を器用に使い、
答案用紙で紙飛行機を折る。
「まあ、テストのことは忘れて、とりあえずどっか遊び行こうぜ!」
土屋は笑って言った。
「どっか行きてぇーけど・・、オレ今財布取り上げられてるからなー」
あの左腕のケガをした翌日から、遊び歩けないよう親に財布を取り上げられ、
仕方なく寄り道もせず学校と家の往復をしている。
いい加減、退屈なんだけど...
「じゃあ、俺んち来る?」
「おー・・、あれ?
お前もうすぐ大会あるだろ、確か。遊んでる場合じゃなくね?」
仮にもエースのコイツを付き合わすわけにはいかない。
「1日くらい大丈夫だって。
あ、そういや飯野先輩から、立花、夏合宿どうすんのかって聞かれてんだけど、」
「オレ?パスパス。
めんどいし」
その頃にはケガは治ってるだろうけど。
合宿なんて、かったりーし。
小野寺先輩と会うのも、
なんか気まずいんだよな..
立花が紙飛行機のハネの向きを調節していると、
土屋が困ったような表情を浮かべた。
「立花行かねぇの?う〜ん、」
「なんだよ、」
「オレさぁ、・・・先輩から、テニスやらなくてもいいから
立花連れて来いって言われてんだよね...」
「は?」
なんだそれ、
テニスやんねーんなら何のために行くんだよ....
「合宿、強制参加じゃねーじゃん」
「先輩命令だって」
「はぁ〜?ふざけんなよ...、めんどくせーな....」
立花はため息をつき、ガシガシ頭をかきむしる。
「んーー、じゃあ、・・学業に励むため行けません、って言っといて」
立花はそう言うと、窓の外の青空めがけて紙飛行機を飛ばした。
風にのってスーっと紙飛行機が飛んでいく。
「本当かよ。
ま、自分で直接先輩に説明すれば?」
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