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Friday night 5
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外に出ると、風が吹いていた。
冷たくて気持ちいい。酔った体を冷ますのにちょうどイイ。
「恩ちゃん、オレ一人で帰るから、中戻れば?」
立花は引っ張られた腕を外し、恩田へ言う。
「お前足フラフラじゃねーか、そんなんじゃ歩けねぇだろ」
体をフラフラさせながら、立花は手を上げて言った。
「ダイジョーブっ!」
「立花....お前酒飲んでんな?」
「飲んでねーし、シラフ!
....じゃ、オレ帰るから〜」
手を振り、恩田に背を向け歩き出す。
「おい待てって、立花っ」
恩田に呼び止められ、後ろから首根っこを掴まれ、バランスを崩し倒れこんだ。
「うわっ....!」
ドテッ
尻餅をつき、気付けば恩田の腕の中だった。
柑橘系の香り...
「.....っ、......、」
急にいたたまれなくなった立花は、恩田の腕を払い、体を離す。
オレ、...
「どうした?」
恩田から逃げようとする立花をおさえ、手首を捕まえる。
「っ、はなせ..、」
立花は体をひねって、どうにか腕を外そうとする。
「おいおい、どうしたんだ急に」
恩田は、立花の様子がおかしいことに気付いて声をかける。
「オレ、大丈夫だから、ホンっトに。だから離せってっ...」
「立花、....」
触られたくない、
こんなタイミングで...
「なんかあったのか?」
「..............」
答えない立花に、恩田はため息をつく。
「はあ、....お前そんなフラフラしてて大丈夫なわけないだろ」
恩田は諭すように言う。
「それに、....今の状態のお前を一人にしたら危ないんだよ。
...分かってんのか?...何されるか分かんねぇぞ」
立花はあらがうのをやめ、俯く。
別に何されたって....
黙ってる立花に、恩田は自分の着けていたネックレスを外し、後ろから着けた。
「コレ、つけとけ。
月曜に学校でちゃんと返せよ」
シルバーリングのネックレスだ。
「ブルガリ...」
「高いんだからな、大事に持っとけよ」
立花はリングを手にとってジッと見つめた。
「しょうがないから借りといてやる...」
「フっ、ったく」
恩田は、憎まれ口をたたいた立花の頭をコツっと小突いた。
「よし。
立花、俺と帰るのがイヤなら、せめてタクシーで帰れ。な?」
恩田は立花を抱き起こし、立ち上がらせた。
センセイがヤなんじゃない、センセイといる自分がヤなだけだ....
恩田がつかまえたタクシーに押し込められ、真っ直ぐ帰るようにしつこくクギをさされた。
「じゃあな、気をつけて帰れよ」
恩田は、立花の薄茶色の髪を優しく撫でた。
運転手が「出ますよ」と言って車が発車した。
「センセー、彼女にゴメンって謝っといてー!」
窓から恩田へ向かって叫び、夜の街を後にした。
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