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「何も殴る事ないじゃないですか!」と涙目になりながら抗議する冴島に、「おまえが悪い!」と恫喝してプリンを一気に平らげた。
その後も隙あらば何かを仕掛けようとするから、その度に手を叩き落としたり抓ったりして、冴島の思惑を阻止していた。
ようやくホッと息を吐いたのは冴島が風呂に入りに行った時で、先に寝室で横になっているとつい意識を飛ばしそうになった。せめて冴島が戻ってくるまではと思っていたのに、ハッと目が覚めた時には冴島が隣で眠っていた。
年下のくせに、俺よりも大きくて良い体をしてる。
身長が高い事は前から知っていたが、抱き締められたり押し倒されたり、最近はそんな事をされているので、知らなくても良かった体の厚みまで思い知らされる。どうして自分と同じ男でありながら、こんなに筋肉量が違うのだろうかと、冴島の胸にそっと手を置いてみる。胸骨には触れず、ハリのある肉感が手のひらに触れた。それから自分の胸に手を当てると、そこはすぐに胸骨に触れる。
「…ずるい」
ついそう呟いていた。
「なにが?」
返事があると思わなくて、金塚の体がびくりと跳ねた。
「起きてた?」
「寝てましたけど…なんかもぞもぞしてるなと思って。てか、金塚さんの方が寝てたんじゃなかったの?」
「寝てたけど…寝てるつもりじゃなかった」
「…ん?」
「いいよ、べつに。」
「んー?」
唸りながら金塚を胸に抱いて頭に頬を擦り寄せて来た。すんっと鼻を鳴らす音がした。
「…せまく、ないのか?」
「んーん。くっついていられる口実万歳。」
それは狭いって事じゃないのか?と言いたかったが、冴島が嬉しそうな顔をしてるせいで何も言えなかった。「寝る」と言うと「おやすみなさい」と半分寝ているような声で言われて、ちょっと笑いながら「おやすみ」と返した。それから数秒で頭上から寝息が聞こえてきて、金塚はそっとその顔を見上げた。
どうしてこの男はこんな状況で、健やかな顔をして寝ていられるのだろう?
そう思うとその顔に触れてみたくて、手を伸ばしかけてから考え直して引っ込めた。
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