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不和
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「さて――」
先生は徐に立ち上がった。
「皆に挨拶していかないんですか?」
「うーん、今日はいいや。
一応見たいもの見れたし。
それに雨降りそうだから帰る」
んじゃ、と片手を振って
歩く後ろ姿に開いた口が閉じれない。
……雨が降るから?
もう呆れる。
心の中で‘とっとと帰れ’コールが
鳴り響いてて五月蝿いくらいだ。
初めての監督だと期待していたのを
いきなり衝撃告白をかまし、
見事に打ち砕いてくれた。
これがこの人と俺との出会いだった。
あの後、部活が終了しても
トシは戻って来なかった。
校庭ならともかく外周ともなれば
グランドも含む訳だから相当広い。
そもそも百周もなんて馬鹿げている
戻って来れる筈が無い。
キャプテンはそれが分かっていて
走らせている。
「…………はぁ」
今回の事は、どう贔屓目に見ても
トシが悪いのは本人だって
きっと分ってるだろう。
じゃなきゃ
素直に走りに行ったりしない。
分かってる。
キャプテンは悪い人じゃない。
どちらかというと温和な性格なんだけど
それが仇をなして他の発言力の強い
先輩達を諌めることが出来ず、結果
後輩が割を食う事が多い。
今日だってもっとしっかり
注意してくれればトシがわざわざ
言う必要なかったんだ。
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