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頼みごと
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三十分前から雨が降りだした。
その雨は最初こそ小雨だったけど
数分前から本降りになってしまった。
「あ、トシ!」
俺を見てトシは怪訝そうな顔をして
近寄ってきた。
頭の先からつま先までびしょ濡れ
息も上がって苦しそうだ。
まだ五月で夜の風は冷たい上に
この雨だ……絶対風邪を引く。
だからって何を言った所で
トシは言われた以上、意地でも百周
するだろう。
「後、何周なの?」
「あと十六周……ハァハァ。
いっから……帰れ」
「でも」
「バーカ、お前は関係ないだろ。
いいか……次、走ってきて
此処にまたいたらマジ殴るからな」
「うん……あ、トシ、これ。
ちょっとだけ休憩してよ」
せめてもとスポーツドリンクを
渡すとサンキュと受け取ってくれた。
「……なぁ秋、頼みあんだけど」
「何?何?」
俺は珍しいトシからの頼まれごとが
嬉しくって浮足立った。
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