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無自覚
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「この先の駐輪所あんじゃん?
そこにキャプテンいんだわ。
隠れてるつもりなんだろうけど
部活終わってからずっと」
え?全然気が付かなかった。
「このままじゃお前と同じで
俺が走り終わるまで待っていそうで
怖ぇんだよ。
誘って一緒に帰ってくれないか?
見張ってなくてもちゃんと百周
走りますって言ってたってな」
「お前がズルするとかキャプテン
思ってないよ」
「理由とか何でも良いし。
兎も角、お前のことだ、
予備傘も持ってきたんだろ?
濡れてるみたいだったから貸してやんな」
それはお前が忘れた時用の傘なのに。
今日だって絶対持ってきてないだろ?
「じゃ頼むな。
こんなことお前にしか頼めねェから」
「――!」
“お前にしか”
ソレ、たまに無自覚で使うね。
「……うん」
逆らえなくなるって知ってる?
「分かった、トシも気をつけて」
「うぃ~」
トシは俺の返事を聞くやいなや
踵を返して暗がりに再び消えていった。
昔から変わらないね、
要領悪すぎなんだよ、トシ。
一本気で、正義感強くって
不器用で見てるこっちがハラハラする。
でも、そういう所が
俺は―――ずっと。
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