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束縛ーとわー
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ー先生(高橋)
「…っゲホッゲホゲホ。 はぁっ…はぁっ…」
「とわ、大丈夫か? もうお兄さんに連絡しよう?な?」
「…いや、 ちょっと今日さ、機嫌…悪いみたいだか…ら」
とわの冷えピタを替えながら電話帳をパラパラさせていると、
とわは俺の手を掴んで首を振った。
熱い手。
荒い息。
心配にもなるよ。
俺、一応とわの『彼氏』だし…
こんなとわの姿を見ることになったのは、
約2時間前にさかのぼる。
ーーー
「ねぇ先生、ベッド貸して」
「ん?どうした? まだ学校始まってないだろ?」
「んー ちょっと調子悪くてさ、 あ、本当ちょっとだよ。ちょっと」
「はいはい。 奥の使いな」
こんな意地っぱりで自分の不調とか言い出さないやつが
「調子悪い」とか素直に言うって、本当に辛いんだろうな…
保健室の鍵をかけてとわはの居るカーテンを開けると、
荒い息で肩を上下させ、咳き込むとわの姿があった。
「…とわ、これちょっと想像以上だわ」
なんでこんな奴を学校に来させたのか…
こいつのお兄さんは。
「…せんせ、吐く…」
「え? あっここ、戻していいよ」
「…ごめっ… はぁっ、はぁっ… ゲホゲホっ…!!」
洗面器と袋を用意して、とわの背中をさすると、
とわは何度かえずいて朝ご飯らしきものを吐いた。
一応朝ご飯は、しっかり食べたのか…
「来たばったりたけどお兄さんに連絡しようか?」
「いいよ。 まだ先生と居たいし、吐いたらすっきりした」
嘘ばっかり。
青白い顔ではぁはぁ言いながら言われたって、説得力なんてないし。
「分かった。 好きなだけ居ろよ。可愛い俺の“彼女”さん」
とわの額に冷えピタを貼り、
優しく頭を撫でると、とわは恥ずかしそうに身体をよじりながら眠りについた。
そして2時間後。
ーーー
「…っ…はぁっ …ぅあっ… はぁっ…はぁっ!!」
発作が起きかけているのか、苦しそうに胸を掴んで息を荒げるとわに、
俺は耐えきれなくなって、電話帳を開いて電話をかけた。
「…はい、すぐ向かいます」
「…っ先生、 はぁっ…はぁっ…電話、いや、だって、 兄貴、機嫌悪… ゲホッゲホガホ!!」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!?」
「先生…?」
つい大声を出してしまった。
とわがビクッと肩を震わせて不安そうに俺を見上げる。
「ごめん。でもな、とわが苦しそうにするの、俺は嫌なんだ。ね?分かってくれる?」
氷枕を首元に当てながら頬にそっとキスをすると、
驚くほど熱く、体温は上がっているように思える。
一応測ってみると、40度近くもあった。
本当良かった、
迎えを頼んで…
「…すいません、とわの兄です…が」
「あっはい… 橘くんですが、朝から体調が悪かったようで…」
とわはさっきよりかはだいぶ落ち着いたようだか、
まだ息はかなり荒く、まだ苦しそうで…
「もう…とわ、具合悪いなら朝いいなよ。 な?心配するだろ?」
「…兄貴…? ごめん」
「帰ろっか。 立てないだろ?抱っこでいい?」
優しい笑顔を向けてとわに触れるお兄さんは、
ふつうに“良いお兄ちゃん”で、機嫌が悪いようには思えない。
それはとわも感じたようで、
お兄さんに抱き上げられながら、不安げに俺を見つめていた。
「本当に、ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、お大事に」
とわが帰ったあと、それまでとわが居たベッドに戻ると、
シーツがぐっしょりと寝汗で濡れていた。
それを洗濯機に放り込み、ふう。と息をついたあと、
冷え切ったコーヒーを一気に飲み干した。
あぁ、とわが居ないと暇だ。
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