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学校
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教室に上がると、幸いホームルームが終わっただけで、
授業は始まっていなかった。
だが、俺が来た瞬間から発せられる執拗な目線と、
あいつと同じ、胸くそ悪い笑み。
「うわっ来たぜ、仮病野郎」
「なんで学校に来るんだよ。もう消えろ」
こんなのはまだいい。
でも流石に、教科書やノートに『死ね』だとかなんとか書かれるのは、
授業が受けづらいから止めてほしいんだけど…
あと兄貴にバレるから…
「パンッ!!」
耳元でなんか大きな音をたてられた。
それによってただでさえ弱い俺の心臓が悲鳴をあげる。
「…はぁはぁ…っ…」
意識が飛びそうになるのを必死で抑え、薬を取りだした。
それを飲み込むことで息は楽になったが、
クラスのやつらは何事も無かったように一時間目の準備をしだした。
くそっ。
マジで最悪。
息は楽になったとはいえ、発作は体力を使う。
せっかく来たから授業くらいは受けようとは思うけど…
授業を聞いてはいるのだが、さっぱり頭に入らねえ。
何より雑音が酷い。
座っているだけでも辛くなってきて、俺は机にうつ伏せた。
が、「せっかく来たし」と謎の意地を張って、
保健室に行くことはしない。
「先生!橘くんが辛そうですよ」
「あら本当。誰か保健室まで連れて行ってくれる?」
当たり前だが、挙手するやつなんていない。
「じゃあ俺が。保健委員なんで」
保健委員だという、名前なんだっけ…
あぁ一条が保健室まで連れて行ってくれた。
「お前らこれが狙いだろ?…はぁ…はぁ…っ」
俺が邪魔だから。
わざと発作をおこさせて…
「ご名答。でも惜しいなぁ…まだあるんだよね」
なんだ?
あぁ…頭が回らねえ。
「だって面白いもん。君、演技うまいから…」
演技じゃない。なんて言っても笑われるのがおち。
それならなにも言わないほうがいいに決まってる。
体力の無駄だ。って身にしみて分かってる。
「あとさ、お兄さんが見たいから。君が倒れればお兄さんが来るでしょ?」
なんだよ。
こいつらも結局は兄貴が目当てか。
そう思うと怒りすらも消え、笑いがこみ上げてきた。
俺は誰にも必要とされない存在だった。
それは今も変わらない…
「お前ら、どうせなら俺を殺しなよ」
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