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関係
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「とわくん、お兄ちゃん来たよ」
「嘘。先生うそ…」
「本当だよ。とわ」
ずっと泣いていて、息も荒いとわの手を優しく包んであげた。
「お兄ちゃん?本当?」
「あぁ。お兄ちゃんだろ?」
頭をなでて、涙を拭ってやると、「うん!」って笑顔になって…
今まで取り乱していたのに。俺の手にすがってきて、
なんか、やっぱり可愛い。かも…
医者たちは、とわが落ち着いている間にと、
とわが抜いてしまっていた点滴を付けなおして、ホッと一息ついていた。
それからずっと手をつないでいたが、とわの目がとろんとしてきたので、
「おやすみ」って言って寝かせてあげた。
少し寝顔を見たあと、車に戻り、悠くんを学校まで送ってから、病院へ戻った。
「とわ、どうです?」
「今はまだ寝てるよ、って昨日は何でとわくんのそばに居なかったの?」
「えっと…悠くんの心が安定していなかったから…すいません」
半分は本当。
でも1人にさせたのはわざとだから…
「あぁ…また『遥さん』って呼んだ?出来れば先生が相談にいくけど?」
「いや、もう安定しているんで…今はとわですよね?」
そっけなく返して、とわの病室に向かっていると、
いきなり背中に温もりを感じた。
「体壊さないでね。俺はいつでも遥くんの味方だから」
って。
何でこんなに温かいんだよ。
何で涙がでてくるんだよ。
「やめて…ください」
涙を見られないように俯いて、声を絞り出して言えば、
先生はすっと俺から離れた。
『あぁ、行かないで』
本音をぐっと押し殺して、頬を伝った涙を拭った。
「寂しいんだろ?」
「え?」
「俺、じゃだめか?俺は遥の近くにいつもいるから」
なんなんだよ。
こんな時だけ『俺』って…いつもは『先生』だろ?
それに『寂しい』だなんて…
俺は1人じゃないから寂しくなんか…
「寂しい。助けて…行かないで」
本音がつい、漏れてしまった…
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