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「はる兄!家過ぎちゃったよ」
過ぎ去った家の方を見ながら俺の洋服をツンツンと引っ張る悠くんを見て、
やっぱり可愛い。
いつ見ても飽きない…
なんて思った。
緩む頬を引き締めながら車を路肩に止めて、
「ちょっと病院に忘れ物しちゃったんだ。一緒に行く?それとも家に帰るか?」
って選択を迫れば、
「一緒行く…」
俺の顔色を伺うように俺の顔をじっと見ながら呟いた。
そんな不安げにならなくたって…
俺は別に拒否したりしないのにね?
「うん、了解」
下を向いてしまった悠くんの頭をなでてから、病院へと車を発進させた。
「すぐ戻るから車で待っててくれる?」
優しく声をかけたが、
「うん…」って不安そうな返事で…
行かないでって顔してた。
そんな悠くんにピアスを触らせて、
「一緒。な?」
そう言うと、靄が晴れたような満面の笑みを浮かべて、
「はる兄と一緒」
って。
おかげで、安心して車で待たせることが出来た。
本当、ピアス買って良かった…
「先生、とわの薬貰うの忘れてた」
「だよね。良かった…またあんなに電話する羽目になってたよ…
まぁ理由が無くても電話したいんだけどね」
先生は「えへへ」と笑って俺に薬を渡してくれた。
先生は幼い。
歯を見せて笑うところとか、
平気で恥ずかしいことを言うところとか。
でも、
そこが可愛い…のかも。
先生のことが可愛い。とか…
何思ってるんだよ、俺。
不意に感じた想いに気付かないように、足早に立ち去ろうとすると、
先生に呼び止められた。
「遥」
「何?」
「遥、……………」
「えっ…//」
驚きを隠せない俺の腕を半ば強引に引っ張って、
優しく顔を近づけた。
「っ…!!先生!?」
半分パニックな俺に先生は頬をかきながら、
「ごめん…我慢出来なくなっ…た」
って申し訳なさそうに呟いた。
驚いた。
だけど、何でだろう。
不思議と嫌じゃない…
「電話してよ。電話で謝って…
これで理由、出来たでしょ?」
俺は顔から火をふくまえに、
車へと、全力疾走した。
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