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昔、一度だけ会った男の子。
男の子と言うには可愛らしすぎる子。
その小さな体を父親の背に隠し、じっと俺を見て、ボソッと呟いた。
「…―げ…ふじしろ、みかげ…です…」
それだけ言うと、君は走ってどこかへ逃げてしまった。
それから会うことも出来ず、ただずっと
何年間も探してたんだ。
やっと見つけた、俺の運命の人
もう絶対に
――離さない
✱✱✱✱✱
「はっ…はっ……」
よっす☆俺、藤代美影、ついこの間17歳になったばかりの、高校二年生☆
今ちょっと事情があって、普段は気になってしょうがない人の目を、一切気にせず、廊下を走ってるんだ☆
え?そんな必死になって走るほどの事情が、どんな事情かって?☆
それは……
「ねえ。なーんで逃げるのさ、お昼一緒に食べよって言ってるだけじゃん?」
「てめーがっ!追いかけてこなけりゃ、俺だって止まるわっ!ついてくんなよ、鬱陶しい!!」
「ツレないなぁ、せっかくの運命の相手なのに?」
「っざけんな、何が運命だっ!!!」
今朝出会ったばかりの男に追いかけられているせいで、吐き気がする程走っているんだ☆
やっぱり運動は日頃からしとくべきだね☆
………オエッ
時は少し戻り、今朝の学校。
いきなり手首を掴まれたかと思うと、いきなり
「君が俺の運命だ」
とか何とかほざいたこの男―玖村聖夜。
どうやら俺が休んでいた間に転校してきたらしく、転校初日から周囲の注目を浴び
その見た目に相応しい程の性格に
全ての体育会系の部活から勧誘がくるほどの運動神経の良さ
さらに、教師らからの信頼も厚いらしい。
そんな男が
俺には無縁な感じの男が、俺を運命だと言い、追いかけ回してくる。
正直、割と本気で関わりたくないし、運命だなんだと言うのも黙らせたいが、生憎俺にはそんな力もない。
ので、逃げるしかない。
クラスが違ったことだけが不幸中の幸いか。
…いや、クラスが違っても休み時間になれば追いかけられるのだから、そんなに大差はないか。
「っ最悪…!!」
わざと聞こえるように言ってやろうと思ったが、息も出来ないほどに苦くて、そんな声も出なかった。
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