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見た目は細身なのに、それに反して握力は中々のゴリラ…
「誰がゴリラって?」
やべ、声に出てたか
これまた素晴らしいほどの笑顔で、余計手に力を込められる。
「い…ってぇな!!くそゴリラ!!!」
「ゴリラとは心外だなぁ。男なら普通これくらいの握力はあるよ」
絶対ェ嘘だ!!!!
握力で敵うはずもないので、精一杯睨みつける。それにも関わらず、こいつはニコッと笑いかけてくる。
「どうしたの、見つめちゃって?」
「見つめてない!!」
「そう?やっと話してくれる気になったのかと思ったけど」
ニコニコと笑顔は絶やさないで、パッと手を放される。手首にはくっきりと跡がついていた。
「ごめんね、跡いっちゃったね」
「悪いと思ってねぇだろ、お前」
それには答えず、また笑顔を向けられる。
否定しねーのかよ。
「とりあえず、さ。ここにいたら色んな人に見つかっちゃうだろうから、場所移そうか」
言いつつ、手を差し伸べられたが、俺はそれを振り払う。
「は?ふざけんな、俺はお前に付き合ってやるほど暇じゃねーっつーの」
「付き合う?とうとう運命感じちゃった?」
「そういう意味じゃねーよ、死ね」
きつく言い放った俺に対し、玖村は少し苦笑いをして、俺を見る。
笑ってばっかだな、
会ってまだ4時間程しか経っていない奴に、何故か違和感を感じる。
けど、それを感じたところで俺には関係ないし、気付かないふりをする。
と、その時だった。
「あっ!玖村くん、いたぁ〜!」
「んもぅ、探したんだよ?」
何人かの女子が短い階段をあがってきた。
よっしゃ、いつもは吐き気がするような奴らだけど、このタイミングはナイスだ!
どうせ、こいつのことだから、女子の話し相手にはなる、しかも昼飯も一緒に食べるはずだ。
その隙に逃げる!
ニコニコと笑顔で上がってきた女子が、俺を見た瞬間に怪訝そうな顔をする。
「…なんだ、藤代もいたの」
「悪かったな、すぐ消える」
そう言って、女子たちと入れ替わりで階段を下りようとする。
と、
「どこ行くの?お昼ごはん、一緒に食べようって」
くんっと、さっきまで掴まれたままだった手首を今度は優しく引っ張られた。
それに、その場にいた4人ほどの女子たちが軽く騒ぎ、俺の頭の中は混乱していた。
「ごめんね、今日はこの人とお昼一緒にするから、また今度ね」
俺に向ける笑顔より、もっと完璧な笑顔を女子たちに向け、頭が追いついていない俺の手を引いて階段を下りていく。
女子たちは叫んで止めようとしたが、こいつは止まらない。
勘弁してくれ、と今日一の溜め息が出た。
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