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あの星をもう1度… 75
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そらるside
俺達は指定された席につき、親父たちの挨拶やら、今年の目標やら語っている。
正直、全く興味が無い。
俺達には関係がない事だから。
志「センラさん〜何してるんやろ」
志麻がジンジャーエールを飲みながら言う。
まぁ俺達は酒が飲めないから仕方が無いのだけど…ジンジャーエールは正直好きじゃない。
ツバサはスイーツを頬張りながら幸せそうにしている。
ここの席に俺達3人で良かったと思う。
会場が賑わっている頃、ある男が来た。
全く知らない人。
?「蒼夜様のお子様で?」
その男は杖を使っている。
容姿的にも歳はかなり行ってるだろう。
そ「はい、どうされましたか」
?「いえ…ただ御挨拶を…」
この人何か違う。
少し疑問に思ったが、挨拶を済ませ、どこかへ歩いていった。
志「あの人だれ?」
そ「さぁ?」
ツ「あの人…どこかで」
ツバサが何か言うと本当のようで怖い。
だけど付き添いの男などいなかったから、偉い人なのではないのかもしれない。
志「ってかもう11時やん」
そ「本当だ」
するとツバサがいきなり立ち上がる。
ツバサが見ているもの、それは俺の親父。
丁寧に頭を下げているツバサ。
父「おい、ついてきなさい」
座っている俺に上から目線で言う。
俺は早く帰りたいので、従う。
そ「で、何の用なんです?」
2階席まで連れてこられた。
2階席は親父たちの身分の方達が沢山いた。
大人になったら俺もここに座らなければならないのか?
それは嫌だ。
父「アメリカの話だが」
そ「行きますよ」
俺は顔一つ変えない。
逆らったところで男子高校生が何も出来やしない。
今は素直にしている方がいいだろ。
父「その話だ。ならあと1ヵ月で出発する。高校の方にも伝えておいた。志麻君にも言っておいてくれ」
あと1ヵ月…?
え?俺達が高校を卒業してからじゃ…
そ「は?何言って」
父「まずは口を直さなければならないな。あと1ヵ月後にはアメリカに出発する。だから高校をやめてもらうぞ」
また勝手なことを言って…
そ「いや、俺達が高校を卒業してからアメリカに行く。という話でしたよね?」
父「君は素直に聞き入れることは出来ないのか?お前は跡取りだ。自覚しなさい」
ちょっと待て。
あと1ヵ月ということは…
そ「あんた…もしかして病気が…」
父「お前が気にすることではない。分かったなら自分の席へ戻れ。」
そろそろ父も危険な状態だと理解しているのだろう。
確かにこんなデカイ会社の社長が病気で死んだら騒ぎを起こすしな。
だけど…また勝手なことをしやがって。
志「何の話やったん?」
そ「あぁ…あと1ヵ月でアメリカ出発らしい」
ツ「まじ!?やった!」
ツバサは喜ぶかも知れないが、
志麻の顔はスッゲェ暗い。
あの強い志麻でさえも逆らえない。
俺達はあの大人達から生まれた子供なのだから仕方が無いのだろう。
志「でも…それじゃ…」
そ「高校も辞めさせられる」
ツ「まぁ…あの人の寿命が近いのかもしれないね。半分入院状態らしいし」
だからって周りのことを考えていない。
いや…自分のことしか考えられないのだろう。
あの堅い頭だからこそなんだろう。
志「そっか……またあの悲しい顔見ないとあかんのかな…」
ツ「何ー?彼女ちゃんの悲しい顔見るの好きそうな性格してるけど?」
俺はいきなり立ち上がる。
ツ「え?そらる?」
そ「志麻、帰るぞ」
志「そやなぁ…俺達はまだ子供ですから」
志麻も立ち上がる。
そ「ツバサ、後は頼む」
ツ「はぁ…仕方ないなぁ。ねぇそらる」
ツバサが俺の袖を引っ張る。
そして耳元で呟いた。
ツ「今度は恋人君を見せなさいよ」
こいつは感が良いんだったな。
そ「お前が見に来い」
俺と志麻は席を立つ。
すると黒いスーツの男が話しかけてきた。
男「蒼夜様…お父様のお許しが…」
そ「タクシーだして」
男「でも…」
こいつも堅苦しい仕事やらされて
正直面倒なんだろうね。
つまんない人生だと思うけど。
すると志麻がその男を顎クイする。
そ「あぁ…ここでもその手使えるんだ」
志「タクシー出さないと…どうなるか知らないけど…ええ?」
男「っ!!…分かりました、今すぐ…」
男は少し顔を赤くして、扉を開ける。
そして車を出す。
志麻は流石だ。
そこら辺の奴らをスグメロメロにするからなぁ。
でも自分の興味の無い奴にはSっぽくするけど、
センラには甘えるんだよな。
志麻らしいけど。
俺達はまた少し豪華な車へと乗り込む。
時間は[0:03]と表示されていた。
もう…まふ寝てるかな。
志「俺センラさん家寄って帰る〜」
きっと今日の事を伝えに行くんだろう。
センラをまた泣かしてしまうって自分を責めるんだろう。
全て悪いのは俺の親父なのに。
そ「じゃぁ駅で下ろしてください」
男「はい、分かりました」
俺達は夜なのに明るい六本木の中を帰った。
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