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姫納め、姫始め
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『年末年始くらい帰ってきたら?お節、龍弥と二人じゃ食べきれない』
雅にそんなメールをもらったのは、もう年明けまであと数時間といった頃だった。
『今名古屋。明日の昼には帰る。良いお年を』
仕事絡みの忘年会で名古屋まで来てた俺は、そう返信してスマホを置いた。
忘年会は昨日だった。今日の日中は名古屋駅近くで知人に会って、その足で東京まで帰っても良かったのだが、新幹線が混んでいて嫌になったのだ。グリーン車なら辛うじて空きもあるかと検討し始めた時、例の男から連絡があって捕まってしまった。別に急いで帰る必要もないかと考え名古屋に止まったバカな自分をぶん殴ってやりたい。
「......なんで、名古屋にいるのに自分の家に帰らないんですか......」
「うん?掃除が面倒くさいだろ?家政婦を家に入れるのも嫌だし」
名古屋にいる時に蓬莱さんがよく利用するホテルで二人、酒を飲む。その距離はやけに近い。何が悲しくて一つのソファーに並んで座らなければならないのか。俺がわざわざスツールに移ると、ニヤニヤと鬱陶しい顔で見てくる。
「何ですか」
「そんな逃げても無駄だよ」
「まさか、今夜もする気ですか......」
「あたりまえじゃないか。え?その気があるから来たんじゃないの?」
よもやしないとは思っていなかった。だからといって、喜んでするわけではない。
「年末くらいゆっくり酒だけ楽しみましょうよ......ほら、蕎麦でも頼んで」
「なに言ってんの。姫納めでしょ、姫納め」
「はぁ?」
気持ちの悪いことを言いながら、俺は気づけばまた蓬莱さんに組み敷かれていた。
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