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(閑話)林一閃、裏番佐藤②
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「『ひゃっ』っつったな、今確実に!ギャハハ!女かよ!」
「~~ッ」
「おいカマ野郎、もう一回今のやってみろよ」
「……やれよ、オラ!」
ガァンと大きな金属音。淳の背後にあった自販機が蹴られてベコリとへこんだ。
「!?」
「キャッ!いやん怖いっ、やめてェ~ん?」
「テメーはキモ過ぎ!ギャハハハ!」
「いやいやオレだけ!?ないわー!キモいのはこのメガネだべ?ガチの『キャッ』だぜコッチ!ギャハハ!」
「……ッ」
形勢を取り戻せと言わんばかりに子分達は詰め寄って、たじろぐ淳をからかっていた。
***
「……池田、教室まで走って。宰次を呼んできた方が良いですわコレ」
不穏な空気が色濃くなってきた時、口火を切ったのは意外にも林だった。普段から笑い声だけは人一倍、実のある事はひとつも言わない林が……だ。
「でもその間に淳が…」
「おめーは北小の伝説・瞬速の池田でしょーが!淳が何かされる前にさっさと行けこのバカ!」
「~~~だああ!ソッコーで呼んでくるから、テメーはそのご立派な頭脳でちゃんと時間稼いどけよクソ林!」
池田は弾丸のように来た道を引き返していった。
林と池田が同じ北小出身だとは知っていたが、林は頭脳派・池田は俊足らしい。今初めて知った。代わる代わる見せつけられる仲間達のポテンシャルにおれは度肝を抜かれっぱなしだ。
いや、今はそんな呑気な事を考えている場合じゃない。おれと林の二人でこの場をどうにかしないといけないのだから。
「林……お、おれは何をしたらいい?」
自慢じゃないがクソ弱いぞおれ、とあらかじめ断りを入れざるを得ない情けなさ。けれど林は気にする風でもなく、おれの肩を叩いてニヤリと笑った。
「佐藤はいつも通りにしててダイジョブよ。っちゅーか、いつも通りにして貰わないと困っちゃうカンジ?」
「いつも通り……」
「そ、いつも通り。なんか偉そうな…凄い人っぽいオーラ?出しててちょーだい」
「はあ!?」
な、なんだそれ!?…… 確かにおれ、普通にしてるだけなのに「エラそう」とか「ナメてる」って言われたりはするけども!それって具体的にどうすりゃいいわけよ?
「えーと、じゃあ、今から言う台詞覚えて。オレが話を振るとき以外は腕組んで半笑いで仁王立ちしてればいいから」
「お、おう……わかった!」
ええい、ままよ。おれは林に全てを託そうじゃないか。
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