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クラスリーダー③
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「宰次クラスリーダーやるの!?」
「ああ。まさかこんな所で芋瀬の野郎とやりあえる機会が巡って来るとはな……!」
「……宰次、終わった事を引きずるのはやめようよ」
めらめらと闘争心が燃え上がる俺に対し、淳は予想以上に消極的だった。淳にとっては、こじらせずに早く忘れたい事なのかもしれない。
――けれど。
「……聞いてくれ淳。俺はお前や、芋瀬にやられた奴らへの仇討ちをしたい……その気持ちもあるんだ、凄く。けれどそれ以上に、芋瀬を止めなければと思っている」
「止める?」
「芋瀬が増長するのは親が権力者だからだ。親の七光りを受けて、奴は自分を万能の神か何かだと思っている。全て自分の思い通りになるし、そのためなら何をしても許される、と」
実際そうやってきたのだろう、今までは。
「おイタが過ぎれば本気で噛みつかれる事になると芋瀬に思い知らせない内は、次々同じような目に会う人間が出るだろう。だから今、奴を――」
ブッ潰す、と言いかけて不安げな淳の瞳に気付く。
「――奴に反撃してやろうと思うんだ、俺達Dクラスで。ダメか?」
出来るだけ柔らかく、淳がいつもするように話しかけてみる。
「……でも、どうして体育祭で?学校行事は喧嘩の場じゃないよ」
「心配するな、喧嘩とは線引きをしているつもりだ」
喧嘩、か。
「奴のいじめや恐喝まがいの行為はいくらでも親が握りつぶせる。が、学校の行事ならどうだ?皆が見ている前で、自分の力で競う…そんな真っ当な場に、奴はノコノコ出てきてくれた。おかげで正々堂々闘えるし、」
た…体育祭の意図からも外れないと思うんだが……どうなのだろう、自信が無くなってきたな。俺は血の気が多いから……。
モゴモゴ口籠りながら覗き見ると、淳の強張っていた表情がみるみる柔らかくなっていった。それがなんだか花のつぼみが開いて行く様子を連想させて、目が離せなくなる。
「宰次って、……なんていうか、宰次だよねぇ」
「??」
「ふふ、僕は何をしたらいい?」
「――、」
『傍に居てさえくれれば良い』
なんてクサいドラマのような浮かれた言葉が浮かんだので、俺は慌ててそれを振り払ったのだった。
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