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宰次ハートブレイク①
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「おーい死ぬな宰次様」
「……」
「だめだこりゃ」
虚ろな表情で微動だにしない宰次。その着席姿はいつになく小さく見える。
「何々??女子に嫌われて死んでるの?ハハ!哀れ宰次様!ハハハ!」
「いや……多分それ以上にこたえてるのがアレだと思うわ」
「アレ?」
「ねぇねぇ池田ってばぁ」
「っせーな!何が目的だよオレでホモ漫画描いたらブッコロスからな!」
「しないよ~!んもぅ、池田ってば自意識過剰なんだ・か・らっ☆」
「マジ腹立つわー」
「僕はただ池田ともっと仲良くなりたいだけだよっ☆」
「ンな事言っておめー……」
チラリと池田は後方を盗み見て、灰に成り果てた宰次に面食らう。
「……ま、いいわ。お前とツルんでたら面白いモノが見れそうだし」
「えっホモ漫画見たいの?」
「ちげーよ!何でオレがホモ漫画面白がると思うんだよ今の流れで!」
「出たなツッコミ魔人!」
「おま、変なあだ名つけんなし!」
キャッキャッ
「……アレね」
「ああ、アレだ」
「副リーダー突然の寝返りとは穏やかじゃないねぇ」
「――いいんだ。俺の考えを押し付けたって淳に苦痛しか与えない」
「お、宰次様がログインした」
「あいつは皆と楽しくやりたいんだ。勝つために必死になる意味が分からない、その点で女子や池田と共鳴している……俺が介入する筋合いなど無いのだ……」
出てきた言葉のあまりの気弱さに佐藤・林は思わず後ずさった。今更ながら、茶化し半分ではまずいと気付く。
「あー、その。淳があんな露骨に掌を返すとは思えないんだが?」
「そそ!何か考えがあっての事かもヨ?!」
「いいや、あんな大失態……俺に愛想を尽かしたに決まっている……」
「ダメだ俺様キャラの「お」の字もない」
「宰次様のネガティブスイッチ強力すぎるだろ……」
虚空を見つめる宰次。ふたりは頭を抱えた。
「まさかここまでやられるとはな……なぁ宰次様、体育祭はどうする?打倒芋瀬は?もうやめとくか?」
「!」
残されていた使命感が働き出したのか、宰次はスゥと長い息を吐いたあと背筋を正した。
「俺が言い出した事だ、勿論やりきる。途中で淳が降りた……それだけだ」
「……そうかねぇ」
引っかかりを残したような佐藤の言葉は宰次の耳には入っていない。
「あいつはあいつの好きにするべきなんだ」
理解があるような口ぶりも、微笑みも、全部が不自然で気持ちが悪い。佐藤と林は喉元まで出かけた言葉を呑みこんで相槌を返した。
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