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ジェラシー、キャンユーシー①
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「人はね、極度の興奮状態になると失神する事があるのよ」
「興奮…」「…ですか」
倒れた淳を抱え、血相を変えて保健室へ駆け込んだ宰次と池田。保健医の所見を聞いて、安堵か気落ちか分からない溜め息をついていた。
「そうよ!急にお友達が目の前で喧嘩なんて始めたらビックリするに決まっているでしょう?」
「喧嘩じゃない……」
「とにかく!二人とも反省して、仲良くしなさいね」
「……ッス」
保健医の目には、淳はさぞ繊細で心優しい少年に映っている事だろう。どうせ良からぬ想像で昇天しただけなのに。何となく釈然としない二人……それをどう捉えたのか、保健医は宰次と池田をグッと引き寄せ互いに肩を組ませた。
「いい?彼が起きたらこの姿を見せてあげなさい。ねっ!」
「「……」」
カーテンが閉まり、足音が遠ざかるのを確認してから二人はバッと離れた。
「ンな姿見せたら今度こそポックリ逝っちまうっつーの」
池田の小声に、宰次は目を逸らしながらも深く頷いていた。
「にしても、興奮しすぎて失神とか……アホすぎだろコイツ……」
「失神を甘く見るな池田。脳に酸素が行き渡っていないんだぞ」
「行き渡らねぇ位が丁度良いわ、こんなド腐れ……」
「うぅ~ん……」
もぞもぞと動きだした淳に、二人は慌てて身を乗り出す。
「オイ淳!大丈夫か!?」
「どこか痛むのか!?」
「困った…なぁ……どっちが…受け………、」
言いきらない内に再び寝息をたてはじめる。寝言の内容を察して二人はガクリと脱力した。
「あー、ったく……。ダチがホモになる想像して何が楽しいんだか。わけわかんねー」
言いながら池田はチラリと目を落とす。スヤスヤ眠る淳。緩みきった寝顔があまりにも幸せそうで、つられて笑いそうになるのを噛み殺す。
「価値観は人それぞれ、か……こいつを見ていると心底思い知らされる」
宰次が淳の前髪をそっと分けた。ムズムズと眉を寄せる淳を眺めながら、慈しむような微笑みを浮かべていて……池田はその状況に何故だかムッとした。そして、宰次の言っていた「不条理な気持ち」という言葉がふいに思い出されたのだった。
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