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ジェラシー、キャンユーシー②
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「お前ホモなの」
「そんな訳があるか。貴様、頭がいかれたか」
「……違うンなら嫌じゃないのかよ。ホモ扱いで好き勝手されて、気分悪くねーの」
オレは無理。死んでも無理。マジ勘弁。そう畳みかけると、宰次は少しだけ目を泳がせた。
「俺だって正直、不愉か……いや、気色……、……良さはあいにく分からんが、」
「言葉選びまくってんじゃねーか」
「それでも好きにさせる事にしたんだ。こいつの懐の深さは倣うべきだと思ったからな。それに……、」
「?」
「こんな幸せそうな顔をされちゃあ、ダメとは言えん」
……だからその顔やめろっての。そういうキャラじゃなかっただろお前。
「……『フジョーリ』だ」
「は……?」
「コイツ、最初はオレの事描いてたんだからなっ」
「そ、そうか」
「お前より先に、だかんなっ!」
「お、おう……」
戸惑い気味の宰次。池田は自分の会話の突飛さに気付いて頭を掻く。
「……ンでもねぇよ」
落ち付こうと深く吸った息が、溜め息になって出ていく。
自分から突っぱねた筈の立ち位置が、今さら羨ましく思えてきた……なんて笑える話で。
上り調子な宰次の選択は、全て正解が約束されているような気がしてしまう。「そっちにすればよかった」と……勝手に「ズルい」と、妬んでしまう。
「池田……」
物憂げな池田を見つめながら、宰次は眉をよせた。
「お前……そんなに描かれたかったのか……」
「ちょっ、おまっ、ちげぇよ!?」
「それは『口では嫌と言いながらも……」
「ゲェーッ!バカじゃねーのちげーから!!」
「……」
「……」
「なるほど、これが『ツンデレ』という……」
「おおおおい!!ちげーーーし!!!つか無駄にツンデレとか学習してんじゃねーよ!バカッ!あと何その興味津々みたいな目!やめてその目!そんな目で見ないで!?」
「……」
「あ」
しげしげと見つめてくる真顔を目の前に、池田は我に返った。
つい、いつも佐藤達にイジられているノリでリアクションをしてしまった――
「ふはっ!冗談だ」
「は?!」
それは衝撃的な光景だった。見下すような一瞥をくれるのだろうと思った宰次が、へらっと口元をほころばせたのだ。
「ここまで全力で返ってくるとふざけ甲斐があるな」
「……」
「どうした」
「ガチ真顔で冗談言うなし……」
「はは」
「ハハじゃねー……、……」
池田は笑いかけて奥歯を噛み締めた。
カタブツの冗談、仏頂面の笑顔。そのギャップにうっかり心を許しそうになった自分が悔しかった。
こいつの行動はやっぱり全部『正解』になりやがる。成功が約束されてる男ってか?やっぱズルい。やっぱムカつく。
けど……
『……池田は宰次の事、嫌い?』
嫌い、っつーか……
『それは本当に、宰次の事?』
……
わかんねぇよ。
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