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淳、腐男子との邂逅①
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クラスメイトを投げ飛ばした翌日。
俺は入学一週間を待たずして自宅謹慎を言いつけられた。親に何かと怒鳴られたが、大声ごときではこの俺の精神は動揺しない。先に手を出して来たあいつが悪いに決まっているからだ。
十日ほど経って再び登校すると、Aクラスだった筈の俺はDクラスに移動していた。確か、ジャガイモの親の要望なのだと耳にした気がする。
その他の変化と言えば、遠巻きに俺を見ながらヒソヒソと話す生徒がそこらかしこに沸いている事だろうか。
「アイツだ、喧嘩の……」
「一回り違う体格の相手を投げ飛ばしたって……」
「あんなチビが?」
聞き流せない一言が聞こえた方向を睨む。三年と思しき男達がひるんだ。
……どうやら俺は一躍有名人のようだ。恐れられる存在というのも悪くは無い。
教室に入り指定された隅の席に腰掛けると、さっと周囲から人が退いた。
「なんでうちのクラスに不良が来るんだよ……」
「せっかく受験したのに、この学校にもああいう奴が紛れてるのか……」
「何しに来たんだ、喧嘩なら他所でやればいいのに……」
……それで声を潜めているつもりなのか。丸聞こえだ。
ここまで忌み嫌われると理不尽さを感じて静かな怒りを覚えた。俺は降りかかる火の粉を払ったまで、俺の領域にズケズケと踏み込んでくる奴を迎撃しただけだ。
まぁ、これで今後は下らない馴れあいに巻き込まれる事も無いだろう。清々する。
お前らが俺を拒否するんじゃない、俺がお前らを拒否しているんだからな。
「おはよぉ~」
静まり返った教室に呑気な声が響いた。
そのあまりの場違いさに、全員の目がざっと声の主の方を向く。
「えぇっ!?な、なに?僕??」
声の主は素っ頓狂な声を出した。
「挨拶でクラスの注目を集めちゃうなんて…僕、カリスマになっちゃったのかなぁ。参ったなぁ。へへへ」
そいつはへにゃへにゃと笑いながら教室へ入ってくる。
突然現れた空気の読めない馬鹿を何気なく目で追っていると、どんどんこちらへ近付いてくる事に気がついた。
「おはよ」
俺の隣にリュックを下ろし、そいつはニコリと笑った。
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