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勘違いと昼休み③
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佐藤池田林の三人に何か弱みを握られているらしい淳。その淳を連れ出し二人で過ごす昼休みが暫く続いた。淳は明るく、随分と俺に懐いているように思える。けれど、肝心な話はいつまで経っても話してくる様子はない。
「宰次、ほんとに池田たちとは何もないんだよ。藤吉さんたち女子と同じ、普通の友達だ」
淳はへにゃりとした顔で言う。その言葉はもう何度聞いたか分からない。所詮他人事だと言い聞かせるも、俺はもどかしさにチリチリと気が立っていく。
普通の友達だ……?馬鹿言え、お前を陰で悪く言っている連中だぞ?
薄暗い階段を眺めていると、ぼんやりと小学校での記憶が思い起こされる。
淳。お前の本音を言ってみろ。お前が本当はどう思っているか、俺なら分かるんだ。俺なら。
***
『宰次って調子乗ってるよな』
『わかる』
『勝手にリーダー気取ってるっていうか』
『誰も認めてねーし!みたいな』
『ははは、それそれ』
は?何を言っているんだ、あいつらは。一年生の頃から五年間、同じようにやってきているじゃないか。お前らが、何をやる時も俺について来たんだろうが。
何故俺がそんな事を言われなければいけない?何故、俺に直接言ってこない!?
*
『悪いけどさぁ、俺らは俺らでやってるから』
『宰次は自分が好きなようにすれば?』
『宰次もバカな俺達といるよりやりやすいだろ』
おいおい何を言い出すんだ。お前らは俺がいないとまるでダメじゃないか。
上級生にいじめられているのを助けてやっただろう。勉強だって教えてやった。どうしてもクリアできないと泣きついて来たゲームを加勢してやったり、リレーや球技大会でピンチヒッターもしてやった。頼ってきたのは全部お前らの方だっただろうが、馬鹿な事を言っているんじゃない。
*
『先生違います、あんな奴友達じゃありません』
『あいつはただの王様気取りで、俺らは家来なんです』
『あいつの中ではそうなんです』
『なんで俺らばっかり我慢しなきゃいけないんですか!?』
……そうか、今では友達と思っていたのは俺一人だったというわけか。この裏切り者共め。
『今の話は本当か?なぜ友達を家来だなんて言うんだ、君は』
違う、言ってない。こいつらが勝手にそう思っているだけだ。……けれどもういい。そっちがその気なら、こっちから友達なんて願い下げだ。
『……こんな役立たずのクズ共を家来にするなんてちゃんちゃらおかしい話だ。家来じゃない。まして友達だなんて冗談じゃない。こいつらはペットだ。暇つぶしに構ってやっていた、ただの頭の悪いペットだ!』
***
「良い子ぶらないでいい」
「えっ?」
「いつまでそうしているんだ。いい加減、正直な気持ちを言ってみろ」
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