アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
1-17
-
ー気づかれたー
悠は、その場から逃れようとする。しかしその人は話しかけてきた。
『Who will be there?(そこにいるのは誰だ?)』
ー男の子の声・・・それに英語だー
『I’m sorry,If you find yourself were here(ごめんなさい、気がついたらここにいたんだ)』
悠は素直に少年の問いかけに答える。
『隠れてないで、出てこい』と英語で言われたので、素直に姿を表した。
悠は、目を見開いた。
ーすごく、綺麗・・・それでいて大人っぽいー
ブロンドの髪は肩まで伸び、毛先はきれいに整っている。切れ長の目に浮かぶエメラルドの瞳は、日光があたりきらきらと輝いていた。
10歳くらいの見た目なのに、彼がここまで大人っぽく見えるのは、今身体が濡れているからだろう。ブロンドの髪はかきあげられ、堀が深く、整った顔立ちがはっきり分かった。
そして頬を伝う水滴は、更に色っぽさを演出していて、水も滴るいい男とは、まさに彼のような状態を言うのだろう。
6歳児の悠でも、彼の美しさは理解できた。
『そんなところにいないで、こっちへ来れば?』
『え、うん』
悠は、彼の近くに腰を下ろした。
すると、少年は悠の顔を覗きこみ『やっぱり』と呟いた。
悠は首を傾げ、言葉を待つ。
『やっぱり遠目で見たときは、確信がなかったけど、君の瞳・・・灰色なんだね。とても綺麗だ。懐かしい気持ちになるよ』
突然発せられた言葉に、悠は目を丸くした。
ーそんなこと言われたの、初めて・・・ー
悠は、川に写る自分の姿を見つめた。
イギリスの同級生の言葉で、悠は自分の瞳を意識するようになった。
日本に帰国してからは、周囲から向けられる視線に、自分の瞳の色が普通ではないことを悟った。
両親や、祖父母から励まされても、モヤモヤは募るばかりで。なのに彼の言葉ひとつで心の霧が晴れていく。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
20 / 30