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ねぇ、先生 *
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「ねぇ、先生」
いつもこの言葉から、僕と先生の時間が始まる。
保健室のドアを開けたが中には入らず、保健室の中を覗き込む。
僕の顔を見ると、先生は溜息を吐いた。そして、掛けていたメガネを外すと、少し目を細めて僕を見る。
目が悪くて睨んでいるように見えるのか、それともただ僕がうざくて睨んでいるのか。
どっちかは分からないけど、別にどっちでもいい。先生が今この瞬間、僕のことを見てるというだけで幸せだから。
「またサボりか、秋山」
「サボりじゃないよ、具合が悪いの」
僕は生意気な口調でそう言うと、ゆっくりと保健室の中に入る。ドアを背中で閉め、鍵を閉めたことがバレないように咳をした。ゆっくりと先生の方を見る。
先生は椅子から立とうとしていた。
……バレてないようだ。
僕はバレなかった事が嬉しくて、笑いそうになる口元をまた咳をするフリをして隠した。
先生は何も気付いてない様子で、棚から体温計を出すと、僕の目の前に差し出す。
「じゃあ熱測れ。熱なかったらすぐに追い返すからな」
「え?なんか熱って感じの具合悪いじゃないんだよね」
体温計を持った先生から離れると、先生がいつも座っている席から少し離れた硬いソファに僕は腰掛ける。
先生はすぐに僕の元に来ると、ベシッと体温計で僕の頭を叩いた。
「何言ってんだ、アホか」
「アホだよ」
「無駄口叩いてねぇで、さっさと測れ。ボケ」
「えー……」
先生に体温計を押し付けられ、僕はしぶしぶ体温計を受け取る。
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