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過去形 4
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ゆっくり歩きながら、立花の元へ近寄る。
白い肌、少し長めの黒い髪の毛、ぱっちりとしている二重の目、スッと通った鼻に、小さい口。
髪の毛に付いている桜の花びら。
俺は笑いながら、立花の髪の毛に付いている桜の花びらを取った。
「なあ、立花」
「なんだよ」
「お前さ。…一人で外国行くのに、寂しいとかねぇの?マザコンなのに」
「マザコンじゃねぇ!!アホッ!」
最後の言葉にプチンときたであろう立花は、また顔を真っ赤にさせて怒る。
腕を振り上げて殴ろうとしてくる立花の手首を俺は軽く掴んだ。
「冗談だって。……で、寂しくねぇの?」
「寂しくない訳ないだろ。生まれた時から一緒に居てくれた人が、突然いなくなるんだから」
「…そうだよな。俺は?俺がいなくなったら寂しくねぇの?」
冗談交じりに聞こえる、本気の質問にきっと立花は気づかないまま消えていくのだろう。
「はあ?お前なんかいなくても、オレは別に寂しくねぇよ」
そう言って立花は、空いている手で俺に向かってアッカンベーをしてきた。
「可愛くねぇ奴」
「そういう間宮の方が、オレがいなくなって寂しいんじゃねぇの?」
ニヤニヤと口元をダルダルに緩めて、バカにするように笑ってくる立花。
俺はうっせ、と一言漏らして手首を離した。
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