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過去形 5
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立花は、ニヤニヤとニヤけている顔をずっと俺に見せてくる。
「やっぱり寂しいんだろ!そりゃそうだろうな!小学校の時から一緒にいるんだもんな」
うんうん、と勝手に立花は腕を組んで話を進めていく。
だけど、俺達の歩みは止まったまま。
「俺がいつ寂しいって言ったんだよ」
「寂しくねぇの?」
「……どうだろうな」
立花の質問を、俺は適当にはぐらかした。
「そっか。…間宮、オレがいなくてもちゃんとしろよ。社会人になるんだからスーツちゃんと着たりしろよ」
立花はそう言って、少し緩んでいる俺のネクタイを締めてきた。
そして、立花は歩みを進めた。
どんどん小さくなっていく立花。
どこかでその場面を見た気がする。
……あ、今日みた夢とほぼ同じだ。
立花が消えていく。
桜の舞う世界に消えて、…いく。
すぐ走れば追いつく所にいる立花の元に、俺は全力で走った。
「うわぁああっ!?」
立花の背中が見えた時、俺は自分の背中で立花の背中にアタックして、そのまま背中に乗った。
「はははっ、なんだいまの声」
「お、おいっ!突然なんだよ!降りろっ、お前が落ちるって!」
「いいよ、別に」
少しして、背中に乗る体勢がお互い安定した頃、立花は深い溜息を吐いた。
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