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過去形 7
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どうすればいいか分からなかった俺は、ただ泣き続けている立花を見ていることしか出来なかった。
呆然と突っ立っている俺と、泣きながら俺の両腕を揺さぶる立花。
全てが異質に見えた。
「お前は……っ!最後まで…最低だっ…」
やっと聞き取れるようになった言葉が、立花からの否定的な言葉だった。
それなのに、いつものように言い返せずに、謝ることしか出来ない自分が、情けなかった。
ドサッと膝から崩れ落ちた立花は、人目を気にせず泣き続ける。
「立花……、なんでそんなに泣いてんだよ。……俺には分かんねぇよ…」
「……オレは…オレは」
泣き続けている立花と視線を合わせようと、俺はしゃがみこんで小さく問いかけた。
立花は、息を何度も吸いながら、言葉を紡ごうと必死に口を開く。
「……オレは…、お前と違って……過去形じゃないんだよ……。……ずっと前から…あの会った時から………間宮が好き、なんだよ…」
目を真っ赤にさせて、涙をボロボロ流しながらそう言う立花。
聞きたかったはずなのに、聞きたくなかったと思った。
「……クソッ…」
俺は小さく呟いた。今まで言わなかったせいで出来た後悔と、立花の気持ちを、こんな時に聞いてしまった後悔。
──立花と違って、最後まで素直にならなかった後悔。
俺には後悔しか無かった。
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