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過去形 8
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子供のように未だに泣いている立花が、段々と小さく見えてきた。
弱くて、寂しくて、悲しいと立花の身体全体からそれが溢れ出ている。
震える腕を伸ばして、座り込んで小さくなっている立花を膝たちをしてから優しく抱きしめた。
懐かしい匂いがした。
「悪い。……嘘ついた。………俺も、…立花がずっと前から…好きだ。ごめん、…言うの遅くなって。お前に嫌われたくなかった。お前との関係が壊れてほしくなかった……」
「……アホ…、バカ……弱虫っ!」
「ごめん…」
俺が素直に謝ると、立花は弱々しく俺の制服を掴んで泣いた。
悲しんでいいのか分からない、喜んでいいのか分からない、そんな状況が俺を支配する。
ギュッと強く抱きしめると、立花が制服を掴む力が強くなる。
そんな立花に今まで以上に愛しさが募り、募って全部崩れそうだった。
少しして、立花の泣きが収まり始めた頃、立花の髪の毛を撫でながら俺は口を開く。
「…立花はいつ外国に行くんだ」
「……四日後…」
言いたくない事のように、立花は素っ気なく答えた。
「そっか」
「…うん」
立花を抱きしめながら、俺は立花と過ごした長かったようで短かった日々を思い出した。
初めて会った時の事。低学年の時に遊び疲れて公園で寝てたら、俺達が帰ってこないといって、二つの家族の中で大事になったこと。
テスト勉強してたはずなのに喧嘩になってたり、二人寂しく花火をしたこと。
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