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僕じゃないから
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二人、楽しく観ていたテレビがCMに入る頃、僕はリモコンでテレビの電源を消す。それから息を少し吸い、長めに息を吐いた。
「……別れよう」
僕と一緒にソファに座り、テレビを観ながらコーヒーを飲んでいた恋人に僕は言う。
僕の恋人の翔は、突然の事にビックリしているのか、コーヒーカップを持ったまま僕を見つめた。
「え?今なに…」
「別れようって言ったの」
僕は、感情をなくしたロボットのように言葉を繰り返す。
今までずっと普通に過ぎていた一秒が、いつもより長く感じる。それが凄く苦しかった。
「…なんで突然……」
翔は少し動揺しながらも、カップをテーブルの上に置いてすぐに僕の目をじっと見る。
「………好きな人が…いるから」
翔と視線を合わせたまま、僕は少し間を置いて言う。翔はゆっくりと俯く。
…嘘なのに。僕が好きなのは、翔なのに。
口からはデマカセしか出てこない。いや、僕がそうしようって決めたんだから、当たり前なのかな。
翔は、俯いたまま何も言わない。
「ごめんね、翔」
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