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①
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静まり返った深夜の室内に携帯電話の着信音が鳴り響いた。重たい瞼をこじ開け、宮田一郎は枕元にあった携帯電話を手に取った。
「……はい」
見知らぬ電話番号の画面に眉間の皺を寄せるも、低い声で応答する。電話越しから聞こえてきたのは、時間帯を全くもって気にしていない陽気な声だった。
「ワイや!千堂や!」
電話の相手は大阪の千堂武士だった。
低血圧の為、寝起き直後もそうだが千堂が電話をかけてきた事自体に苛立ちを感じる宮田。
それを悟ったのか否か千堂はすぐに本題を口にした。
「お前、幕之内の事どう思っとるんや?」
陽気な声とは一変して、突然ドスの効いた低い声が返ってきた。その言葉に、ぼんやりとしていた意識がはっきりし始める。
この口調だと、千堂は幕之内こと幕之内一歩と宮田の関係を知らない様子である。
宮田は返答をせず押し黙った。
「はっきり言えんって事は、お前もアイツに気ぃあるっちゅう事やねんな」
その千堂の言葉を耳にしても応答しない宮田に短気な千堂は痺れを切らしたのか、一方的に電話を切ってしまった。
ツーツーツー。
と、携帯電話からは電話の切れた音が聞こえていた。
「……迷惑な奴…」
ボソリと返事が返ってくる訳もない携帯電話に向かって悪態を漏す。
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