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「今年もよろしくお願いします〜!」
例年と同様合宿先は、鴨川ジムの会長、鴨川の親友でもある猫田のペンションで行われる事になった。
ペンションの前で白い大きな犬を連れた猫田が、四人を待ち構えていた。
「お〜皆んな〜良くきたダニ〜」
こんな山奥のペンションともなると、街にまで下りなければ人との遭遇は滅多にない。だから、四人を出迎えた猫田はとても満足気な顔をしている。
「猫田さん!お久しぶりです!今年もよろしくお願いします」
「お~幕之内久しぶりだ二。鷹村も木村も………」
鷹村、木村、一歩の順で並ぶその横に居た宮田を見て猫田が言葉を詰まらせる。
「あ、こっちは宮田君です!東洋太平洋王者の宮田一郎君ですっ!」
宮田本人が自己紹介を始めるよりも早く一歩が紹介する。そんな一歩を隣で見ていた鷹村と木村は、お馴染みのなんとも言えない表情を浮かべていた。
宮田はというとそんな二人に気付いたのか、はぁと溜息をひとつこぼしていた。
軽い挨拶も終わりペンションの中へ各自荷物を運ぶ。
「本当いつ来てもここのペンションって貸し切りだよな〜」
猫田が夕食の用意をするとペンション内から出て行ったのを確認してから木村がそう言葉を投げかけた。
「もう~木村さん、失礼ですよー!もしかしたら僕達の練習の邪魔にならない様にいつも貸し切りにしてくれてるかもしれないんですし」
「いんやっ!それはねぇだろ!」
「も〜鷹村さんまで〜」
三人が和気あいあいと荷物を整理していくなか、宮田は荷物の中身を見てあからさまに しまった という表情を浮かべていた。そんな宮田にすぐさま気付いた一歩が宮田の顔をのぞき込む。
「…どうしたの、宮田君?」
「……予備の下着を忘れちまった」
「へ?」
まさか宮田の口から「下着」という言葉が出てくるとは思っていなかった一歩は思わず声が裏返った。
その二人の様子を見ていた木村が「提案があるぜ」と口許を緩めた。
「俺達全員のを洗濯して使い回したら良いんだよ。俺も何着か持ってきてるし」
ペンションには勿論洗濯機が存在する。
良い考えだろ?と提案した木村に鷹村が「え!?」と、驚きの声を発した。
「なんか問題でもあるんスか?」
付き合いの長い木村からすれば、鷹村がまたしょうもない事を口にするんだろうなと予想できていた。
けれどその読みは外れる。
「オレ様も今履いてるもんしか持ってきてねぇんだよ」
「…マジかよ」
「…木村さん。」
「ん?なんだよ、宮田」
「いくら洗濯してても鷹村さんのだけは、履きたくないですね」
「あぁん!?なんか言ったかぁ宮田ぁ!」
今はジムが違えど小さな頃から鴨川ジムに所属していた宮田は何の違和感もなく鷹村と木村と笑みをかわしている。
そんな様子を隣で見ていた一歩は、自身の鞄から何やら下着を二着引っ張りだした。
「宮田くん!ちょうど、まだ使ってない下着持ってきてたからこれ良かったら使っていいよ!」
「………サンキュ」
妙に用意周到だな、と木村が口ずさむ。
その木村の後に今度は鷹村が続く。
「…もしかして一歩、お前。確信犯だったりしねぇよな」
その鷹村の一言で場の雰囲気が悪くなったのが、一歩には一瞬で分かった。
本気なのか冗談なのか、隣に座っていた宮田が一歩から後退した。
「ぼ、僕がそんな事する訳ないじゃないですか!そんな誤解をうむ様な言い方やめて下さいよっ!」
「いんや、お前が宮田に熱愛してんのは皆んな承知済みだ。だからこそ、」
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