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「…………」
「どうして何も答えない。それとも、答えられない理由でもあるのか?」
この宮殿は驚く程広い。まさかこんなに早く彼と会うとは思っていなかったエリスは俯いて頭をフル回転させる。
一人でここにいる理由は?まさか探索していたとは言えない。
一歩ずつ詰め寄って追い詰めるアルベルトに彼は咄嗟に思いついた言葉を口走った。
「──あなたに会いたかったから…」
「!?……俺に?」
俯く視界の中に立ち止まった彼の足先を確認し、恐る恐る視線を上げた。
苦し紛れなのは自分でも良く理解している。
だが言ってしまった以上、エリスはその言葉を突き通す決心した。
そして彼は知っている。
嘘は貫けば真実になる──と。
「昨夜、アルベルト様が来るのを待っていたんです。けれどあなたは来なかった。それに今朝、あなたには会えないとエドリオさんから聞かされて……」
「……。それで俺を探し回ったとでも?何もこのまま一生会えないわけではないだろう。本当にそんな事が理由でここにいるのか?」
「……もう結構です」
「おい、待て。何を怒っている」
アルベルトは踵を返したエリスの腕を掴んで彼を引き止めた。
その瞬間、ニヤリとエリスがほくそ笑んだ事を彼は知らない。
「あなたにとっては"そんな事"なのでしょう?放して下さい…!私は二度とあなたを探したり、"会いたい"などとは思いませんから」
「エリス……。悪かった、謝るから機嫌を直せ」
先程とは打って変わって甘えるように自分を抱き寄せたアルベルトに尚もそっぽを向く。
そんなエリスをどうにか宥めようと水の滴る彼の髪を撫で、アルベルトは耳元で低く囁いた。
「髪も体もこんなにびしょ濡れで……一瞬、この噴水の女神が現れたのかと見間違えたぞ?」
「っ、私は男ですよ?」
「そんな事は関係ない。お前は誰よりも美しく魅惑的だ。女神と間違われても無理は無い。あぁ、それに"面白い"だな」
「面白い…?」
「ああ。人目も憚らずこんな姿で宮殿内をうろつくのはお前くらいのものだろう?」
「あ…ッ」
エリスの首筋に唇を寄せ、肌に張り付いたスリットの隙間から忍び込んだアルベルトの指が下腿の後ろを撫でる。
それが徐々に上へと這って臀部(でんぶ)に差し掛かろうとした時、慌しく二人に近付く足音を耳にした。
「エリス様…!こんな所にいらしたのですか!?」
「エド。俺はこいつの案内を命じたはずだが?」
「っ!申し訳ございません…」
エドリオは深々と頭を下げて素直に自分の非を認めた。
そんな事をされてはいたたまれなくなり、エリスは眉尻を下げる。
「勝手な行動をしたのは私です。エドリオさんは悪くない。罰せるならどうか私を…」
「ほう…。なら今日一日は部屋で大人しくしていろ。それがお前に対する罰だ」
「…分かりました」
「さぁエリス様、もう一度お召し物をお着替え下さい。風邪でもひかれては大変だ。おい誰か!エリス様を部屋までお連れしろ!」
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