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「!!」
驚いたエリスは隣に控えるエドリオに視線を送るが彼もまた困惑気味に眉を寄せ、しぶしぶながら僅かに首を縦に振る。
この王に逆らえる者は誰もいないのだ。
エリスはそれを理解し、張り詰めた空気の中ゆっくりと顔を上げた。
「!ほう……これは随分と──」
「っ…!」
「──マッシマ、こいつは俺のものだ。いくら父親だからと言って、簡単に触れられては困る」
王の指先がエリスに触れようと伸ばされた直後、アルベルトはエリスの前に立ちはだかりそれを阻止した。
王と息子の確執。
それはここ数年の話ではなく周囲の誰もが知る程古く深いものだ。
「随分と執着のようだ。それを少しは政治に向かせれば良いものを…。今度はいつまで保つだろうな?」
「…………」
王はやがて興味が失せたのか彼らから離れて行くと、しばらくしてエドリオが大きな溜め息を吐く。
「皇子、どうかもう少しお言葉を考えて下さい。心臓に悪い」
「そんな軟な心臓じゃお前はとっくに死んでるだろ。エリス、俺のいない所ではあいつと会うな。分かったか?」
「……もし呼ばれたら?」
「適当に誤魔化せ。体調が悪いとかなんとか…。ま、エドがどうにかするだろうが」
「これ以上私の仕事を増やされては困ります。心労が絶えません」
そういってまた溜め息を吐くエドリオをアルベルトが笑う。
エリスはこの2人の関係を主従と言うより兄弟のもののように感じた。
「お二人は旧知の仲なのですか?」
「そうですね…。旧知の仲と言いますか、私がこの宮殿に来て初めてお仕えしたのがアルベルト様でして。あれは確か10才頃でしたか?」
「ああ。俺の教育係り兼世話役だった」
「それは今もあまり変わりませんが…」
「…何か言ったか?」
「いえ何も」
アルベルトの睨みにエドリオは綺麗な笑みを貼り付ける。
冗談すら言い合えるエドリオはアルベルトにとって信頼する部下であり、良き友人でもあった。
(エドリオに取り入った方が話が早いか…。でもそう簡単にはいかなさそうだな。せめて気付かれないように注意ないと…)
「────おいエリス。聞いてるのか?」
「え?」
物思いに耽っていたエリスは名前を呼ばれ慌てて顔を上げる。
そんな彼を見てエドリオは僅かに勘繰りで目を細めた。
「陽が沈んだらお前の部屋へ行くと言ったんだ。酒に付き合え」
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