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「……これでいいんだ」
召使い達を追い払った浴室でエリスはポツリと言葉を漏らす。
流れ出るお湯の音に掻き消されそうな程小さなその声はエリスの本心だ。
だが何か釈然としない。
きっと彼と言い合ったせいで気が高ぶっているんだろう。
エリスはそう思い、気を鎮めようと湯にゆっくり浸かってはみたものの彼の言葉が浮かんでは消える。
噂程度で耳に入れば十分だった。
強すぎる感情の揺さぶりは憎悪に繋がる恐れもある。
これでもし結果が裏目に出たら…。
エリスはあれこれ思案していたが、それを邪魔するかのように浴室の外から聴こえてくる騒々しさが不意に彼の耳へと届く。
「…?何だか騒がしいな?」
結局考え込んでしまうのであればここにいる意味が無い。
部屋に戻ろうとエリスが立ち上がった時、唐突に開いた扉からその騒々しさの原因であろう人物が召使いを押し切って入ってきた。
「アルベルト皇子!こちらは王族の方が使用する湯殿では…!」
「俺に意見するとは…よほど首を刎ねられたいらしいな?」
「っい、いえ!そのようなつもりは…!」
「だったらその口を塞いで入り口を見張ってろ。誰であろうと中には通すな」
「…はい。かしこまりました…」
怯えきった召使い達全てを追い出すとアルベルトはエリスを振り返った。
この広く閉ざされた空間に二人きり。
中庭での続きと言わんばかりに重苦しい雰囲気が漂い、エリスは彼と目が合った途端身体を隠すように波を立ててまた湯船に浸かり背を向けた。
決してここに居たい訳じゃない。
だがアルベルトの強い眼差しに圧されて出ていく事を諦めた。
…どうせ易々と出してはもらえない。
「何か…ご用ですか」
「……」
無言で近付いて来る彼を背中越しに制するが止まる気配は無く、やがて側まで来たアルベルトから布が擦れる音が聴こえ横目で返り見たエリスは驚きの声を上げる。
「っ!?何を…!?」
「何って…。お前は俺が服を着たまま風呂に入るとでも思っていたのか?」
「…そういう意味では…」
エリスは否定しかけたが途中で止めた。少なくとも彼の目的は読めたからだ。
浴室で服を脱ぐくらいなら最初から脱いで来ればいいものを、わざわざここまで来て脱いだという事は入浴するつもりではなく、彼は自分と話す為にここへ来たんだ。
それが分かると先程までの気まずさは消え去り、エリスは彼を振り返ると浴室の縁に凭れ誘うように視線を上げる。
比較的細身のアルベルトだが服を脱いでしまえば鍛えられた肉体が綺麗な屈曲を作り、男の魅力を放つ。
端麗な顔立ちにこの身体、そして次期国王という地位。
女なら頷かない者はいないだろう。
「なんだ、俺に見惚れたか?」
「……ええ」
素直に返事をしたエリスが見つめる中。
惜しげもなく一糸纏わぬ姿となったアルベルトは、浴槽に入るとすぐ彼を後ろから抱き抱えた。
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