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「……──っ!?ンッ、ンンッ…!」
ごつごつした床石にひんやりと頬の熱を奪われる感覚でエリスは意識を引き戻した。
口元を塞ぐ布はきつく縛られ、それを外そうとした腕は後ろで、立ち上がろうとした脚も縄で固く拘束されている。
(ここは……?)
周囲の暗闇に目を凝らして視界が慣れてくると、そこは古い土壁で覆われた部屋だという事が見て取れた。
だが到底見覚えはない。
(攫われたのか…!?でも何のためにオレを…?)
自分を連れ去ったであろう男の顔を思い浮かべるが知らない人物だ。
それに次期国王のアルベルトを連れ去るならまだ分かるが、単なる気紛れの愛人に過ぎない自分では弱味には愚か取引材料にもならないだろう。
アルベルトなら何の躊躇いもなくエリスを切り捨てる。
(一体何の為に……。とにかく今は自力で抜け出さないと…!)
エリスは体勢を変え、身を捩って部屋の隅まで移動すると壁を使って何とか体を起こす事が出来た。
しかし問題はここからだ。
(窓は無いか……それにしてもやけに静かだ)
光が遮られたその部屋では、あれからどれだけの時が経ったのかすら分からない。
今が夜なら理解できる。
だがもし昼間でこの静けさなら、ここは街から離れている場所だろう。
状況が読めないエリスは迂闊に動く事が出来ずひたすら頭を働かせていたが、こちらに近付く乱暴な足音に思考を停止させてドアを疑視した。
「やっとお目覚めか、姫さんよ?」
「……」
ドアを開けた男は宮殿で声をかけてきた者とは全くの別人。
こうなると益々自分の攫われた理由が分からず、エリスは口元を覆う布を外そうと身じろいだ。
「おっと、勝手な真似すんじゃねえぞ?」
「っ!」
「その綺麗な喉元を切り裂かれたく無きゃ大人しくしてろ。でもまぁ、一声かかればどっちにしろ始末するんだがなぁ?ヒヒヒッ」
男は右手に持つ剣の先端をエリスの喉元に宛てがった。
その鋭利な先端で彼の喉元を撫でてからかっていたが、やがてその白く細い首筋を繋ぎが見たくなり剣先で襟元を少し裂く。
そしてはらりと裂けた布から垣間見えたのは、片方の鎖骨から肩に掛けての滑らかなライン。
薄い胸板は痩せ過ぎではなく必要分の筋肉で引き締まりを保ち、男が左手に持った蝋燭の炎が緩く揺れるたびに凹凸を浮かび上がらせる。
それに加えて自分を貫くような棘の鋭いエリスの視線に男はゾクリと背筋を震わせ、想像以上に魅惑的な彼の姿に生唾を飲んだ。
「もったいねえなぁ……こんなに綺麗な奴、女でもそうそういねえぜ…。なぁ?」
「っ!?ンンンっ…!ンンッ──!」
「騒ぐんじゃねえ!!お前も最期に良い思いしてえだろ?俺がたっぷり可愛がってやるからよ…」
髪を鷲掴みにされたエリスはそのまま床に捻じ伏せられ、乱暴に腰だけを引き上げられはっとした。
これから何をされるのか嫌でも想像がつく。
だがエリスの気掛かりはそんな事ではない。
────アルベルトだ。
彼と最後に言葉を交わした時、エリスは彼の独占欲の強さを目の当たりにしている。
そんなアルベルトに犯されたと伝われば、彼は自分を嫌煙して二度と近付けなくなるかもしれない。
仮にそうなれば、何の為にここまで来た?
これまで自分達のしてきた事が全て無駄になるのか?
(くそっ…!!それだけは駄目だ…絶対に…ッ!!)
窮地に追いやられたエリスの心境を嘲笑うかのような男の手は、性急に彼の服を乱していった。
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