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「…………」
エリスはゆっくりと目を開けた。
いつの間に眠ったのだろう?
そう思って身体を起こそうとしたが腕は動かず、代わりと言うにはあまりに酷な痛みが至る所から湧いてくる。
「ッ……」
その鈍く痺れる痛みで反射的に身体が強張り、ぼやけた意識がはっきりしてきた。
「そっか…、オレ……」
"夢なら良かったのに"
口元を覆っていた布はいつの間にか外されていたが息苦しさは相変わらずだ。
ポツリと呟いた後、淡い期待を打ち砕く現実を再認識したエリスの頭にふとある人物の存在が過ぎる。
「アル……どうしてるんだろ…」
高貴な緋色の瞳は今何を思って何をしているのだろう。
自分を心配してるだろうか?
「……そんな訳ないか」
一つ一つ疑問が浮かんでは消える。
それを繰り返している内にまた乱暴な足音がこちらに近づいた。
「よぉ…お姫さん。昨夜は楽しかったなぁ?」
「……殺しに来たのか」
「あぁ、そうだ。だがその前にもう一発ヤりてえと思ってよ」
この部屋と外界を繋ぐドアを開けたのは、ここへ来て最初にエリスを犯した男だった。
その男を皮切りにエリスは数人の男に代わる代わる辱められ、虚しい抵抗をするたびに暴力で捻じ伏せられた。
そんな彼の身体には痣や擦り傷が付き、無数の花を咲かせている。
────気持ち悪い。
男の欲に塗れた自分の身体に嫌悪感を抱き、迫りくる男を殺意の籠もる目で睨み付けた。
だがその時、エリスはある事に気付く。
外が騒がしいのだ。
「なんだぁ?今日は抵抗しねえのか?」
「……まぁね」
恐らく男はまだ気付いていない。
この機に乗じてここから脱出できればまだチャンスはある。
エリスは男が気付かないよう祈る気持ちで近付いて来るのを静かに待った。
しかし……。
「っ!!なんだてめ──」
「ッ──!?」
それはほんの一瞬。
騒然たる足音が響いて男がドアを振り返り、エリスは勢い良く開いたドアから射し込む外の光に目を眩ませた。
そして次の瞬間。
威嚇する言葉を言い終える前に男の首は胴体から切り離されていた。
「……!!」
ドサッと崩れ落ちた男の亡骸は血生臭さを充満させ、予想しなかった出来事にエリスの思考が固まる。
次は自分だ。
光を背負って立つその人物が黒いシルエットのまま一歩前に踏み出し、エリスは身体を硬直させた。
「────エリス」
自分の名を呼ぶその声には聞き覚えがあり息を呑む。
だが思い当たるその人物はこんな所に来るはずが無い。
何かの間違いだ。
「…く…っ…来るな…!」
エリスは掠れた醜い声でそう叫ぶ。
彼にこの醜態を晒せばきっと幻滅され謙遠されてしまう。
彼の悲痛な叫びに立ち止まったその人物は、燃えるような赤い瞳に殺意を保ったまま血の滴る剣を片手にギラギラと目を輝かせていた。
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