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「っ!!どうって……」
「"嫌い"ではないんだろう?だったら何だ?」
アルベルトの要求にエリスの肩が震える。
オレの言葉?何を言えと?
冷静と混乱の間で彼が望む言葉を探すが、所詮それらはどれもエリスの言葉ではない。
嘘はいくらでも吐ける。だがそれを口に出せないのはなぜなのか。
珍しく怖気づいたエリスは自分を見つめる優しい瞳にようやく唇を震わせた。
「…触れたい。触れて欲しい…っ、早くキスしろよ…!」
その答えは列記としたエリスの言葉だった。
綺麗に並べた文字列ではなく、あまりに幼くて単純。そして荒削りだ。
しかしアルベルトは満足そうに目を細め、羞恥でせがむエリスに望むものを与えた。
「っ……ッふ……んぅ、アル……」
「好きなだけ触れさせてやるし、触れてやる。だが今夜はここまでだ。すぐにまた議会へ戻らなければならない」
「……聞いても、いい?」
「ん?いいぞ」
「答えなくてもいいけど…、何をそんなに揉めてるの?休戦…するかどうか?」
名残惜しく離れた唇で自分の立ち位置を把握する意味合いも兼ね、エリスはわざと際どい質問を投げかけた。
それに対するアルベルトの反応で今後の対処が決まる。
先程とは違った緊張感で顔を強張らせたエリスに数回瞬いた後、彼の目的を知らないアルベルトは悪戯な笑みを浮かべ頭を撫でた。
「あと一押しなんだ」
「……そう」
「あいつらが束になったところで俺は引き下がるつもりはない」
「……そうなんだ…」
何となくはぐらかされていると認識したエリスは彼から目を逸らし、飲み物に手を伸ばすと過度な期待をした自分を労うべく喉を潤す。
どんなに浮いた台詞を聞こうとやはり自分は愛人の一人に過ぎない。
そう理解したエリスだったが、彼が水を一口流し込んだ時とんでもない声が耳に入った。
「あぁ。だから何が何でもお前を宴に同席させる」
「ッ───ゲホゲホッ…!!ゴホッ…!」
「ん?大丈夫か?」
噎せて涙目で咳き込むエリスの背中を擦り、その原因である当の本人は悪びれる様子もなく彼を覗き込んだ。
「うた…宴…!?どうしてオレが!?そもそも何の宴!?」
「互いに休戦を誓う為にこの国で開くらしい。西からも気取った奴らが来るだろうからな、お前が同席しないなら俺は出ないと言ってある」
「…………」
エリスがエドリオに敵視されている原因はここにもあるのかもしれない。
呆れ返って文句を言い損ねたエリスは上機嫌になり果物をかじるアルベルトを横目に見て溜め息を吐いた。
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