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開け放たれたままの窓から冷たい夜風が入り、3人の間をすり抜けていく。
一髪触発の雰囲気に、エリスとアルベルトの鼓動は速くなるが、エドリオの頭は冴え、どこか清々しささえ感じていた。
「もっと早くにこうするべきだったのかも知れませんね」
そう呟くと、エドリオは剣を抜いた。
「っ、何のつもりだ…!」
薄暗がりの中、エドリオの表情は見えない。
だがその声には迷いの無い、強い決意が感じ取れた。
「聞くまでもありません。決まっているでしょう?」
そう答えたエドリオは剣を握る手に力を込めた。
「アル…っ」
咄嗟に自分を庇う素振りを見せたアルベルトの肩を掴み、エリスは彼の考えを伺おうと視線を向けた。
そして目を見張った。
「心配するな。お前だけは絶対に守ってやる。」
エリスを映すその瞳は優しく微笑んでいた。
それが何を意味するのか、エリスにはすぐに分かった。
(あぁ…。この人は……)
目の奥がギュッと痛み、熱くなる。
エドリオが握っているのは長剣であるスパタだ。
それに対し、自分達の武器と言えばエリスの持つ短剣ただ1つ。
不利は明確だった。
例え自分が何を言ってもアルベルトは聞く耳を持たないだろう。
エドリオ同様、アルベルトもまた、心を決めている。
(自分を犠牲にしてオレを逃がすつもりなんだ…)
話し合う時間もない。
いつエドリオが動き出してもおかしくないこの状況で、エリスは自分に出来ることを考えた。
そうして、とうとうエドリオの足が床を踏み締めた瞬間、身構えたアルベルトの目にエリスの瞳が入り込み、一瞬時が止まる。
「王様らしい事、してみてよ。アル」
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